三重×食器

三重県には代表的な伝統工芸品「萬古焼」「伊賀焼」があります。

• 萬古焼

  萬古焼（ばんこやき）は、三重県四日市市で作られている焼き物です。
  江戸時代中期、桑名の商人であった沼波弄山（ぬなみろうざん）によって創業されました。
  その名は、いつの世までも続く優れた焼き物となることを願って付けられたといわれています。
  1777年の弄山の没後は一時途絶えていましたが、1831年、桑名で古物商をしていた森有節によって小向村で再興されました。
  弄山の時代の作品は「古萬古」、有節時代のものは「有節萬古」と呼ばれています。
  直火や空焚きにも耐えられるほど耐火性が高く、急須や土鍋が特に有名です。

• 伊賀焼

  伊賀焼（いがやき）は、三重県伊賀市で作られている焼き物です。
  その歴史は古く奈良時代から始まり、鎌倉時代から本格的に生産されるようになりました。
  安土桃山時代、茶の湯が盛んであった頃に作られていた茶陶器は特に有名で、「古伊賀」と呼ばれ、作家の川端康成が絶賛したことでも知られています。
  原料となる粘土は古琵琶湖層から採れ、耐火性が非常に高いため土鍋等にも適し、現在でも日用雑器などさまざまな伊賀焼が作られています。

• 沼波弄山

  沼波弄山は、江戸時代中期に萬古焼を始めた陶芸家です。
  伊勢国桑名の豪商で、幼いころから茶道を学んでいたことから焼き物にも興味をもち、茶陶器などの作陶を行っていました。
  別邸があった小向と向島小梅に窯を築いたことから本格的に作陶を始め、その後尾形乾山らに京焼の技法を教わりました。
  弄山の作品には、「萬古」「萬古不易」の印が押されたものが多く、古萬古として高く評価されているため、買取でも高額査定となることが期待できます。

• 森有節

  森有節（もりゆうせつ）は、江戸末期に萬古焼を作った陶芸家です。
  伊勢国桑名で古物商を営んでいましたが、萬古焼の創始者である沼波弄山の没後、弟の千秋（せんしゅう）とともに古萬古発祥の地である小向に移り、1831年より萬古焼の再興に取り組みました。
  はじめは古萬古の模作を行っていましたが、流行に合わせて煎茶器を作るようになりました。
  また、木型を使った製陶法や鮮やかなピンク色の釉薬を使った作陶などを新たに取り入れ、独自のスタイルを築き、その作品は「有節萬古」と呼ばれています。