三重×着物

三重県には代表的な着物である「伊勢型紙」「伊勢木綿」があります。

• 伊勢型紙

  伊勢型紙は三重県鈴鹿市あたりに古くから伝わる染色用の型紙です。
  丈夫な美濃和紙に柿渋を塗ることで防水性を高めたものに、反物の紋様や絵柄を細かく彫って作られます。
  伊勢型紙は非常に精細なものが多く、1983年には国の伝統工芸品にも指定されました。
  伊勢型紙は江戸時代初期頃からこの地域で発展し始めたといわれており、当時の紀州藩からも手厚く保護されていたようです。
  その後も現在に至るまで、彫りの技術は発展を遂げ、今でも流通している型紙のほとんどは鈴鹿で作られています。

• 伊勢木綿

  伊勢木綿は、江戸時代から続く綿織物の技術です。
  三重県の指定伝統工芸品にも選ばれています。
  伊勢木綿はあまり縒りをかけないふんわりとした綿糸を使用するのが特徴で、その生地は柔らかく調湿性に優れています。
  使い込むほどに生地に味が出てくるのも伊勢木綿の魅力です。
  伊勢木綿は江戸から明治にかけて盛んに生産されましたが、現在は臼井織布株式会社という織元だけが伝統を引き継いでいます。

• 中村勇二郎

  中村勇二郎は、三重県出身の伊勢型紙職人です。
  花など独特の形状をした刃で細かい紋様を彫る「道具彫り」の名人で、人間国宝にも選ばれています。
  中村勇二郎の作る型紙は、非常に緻密で繊細なことが特徴です。
  1902年、型紙職人の家に四代目として生まれた中村勇二郎は、高校卒業後に父から伊勢型紙の技法を学び始めました。
  その後は制作の傍ら白子町伊勢型紙彫刻組合長や伊勢型紙の講師も務め、83歳で亡くなるまで後継者の育成にも携わり続けました。

• 六谷梅軒

  六谷梅軒は、三重県鈴鹿市の伊勢型紙職人です。
  鮫小紋や通し小紋などの「錐彫り」の技法を得意とし、1955年には人間国宝に認定されました。
  六谷梅軒の型紙は、点が非常に細かく並んでいるのが特徴です。
  六谷梅軒は同じく型紙職人であった父や兄から彫りの技術を学び、大阪万博では彫刻実演を行うなど、伊勢型紙の第一人者として活躍しました。
  また、伊勢型紙の研究や後継者育成にも積極的に関わりました。