毛皮買取

毛皮は古代より価値があるものとされ、人々に愛されてきました。高級毛皮がどのように一般的なファッションにまで浸透したのか、その歴史を紹介します。

• 毛皮の起源と流通

  旧石器時代、人類は毛皮を衣類として利用していました。現代ほど暖かい繊維や紡績技術がない時代のことです。狩猟で得た動物から毛皮を剥ぎ取り、防寒着として利用したのは必然だったのでしょう。

• 紀元前のローマ時代には寒さで命を落とすこともなくなったため、防寒着の役目を終えた毛皮は嗜好品や財産として取引されるようになります。そして、中世ヨーロッパにおいては富や権力の象徴として使われるようになります。歴史の教科書などで、ゴージャスな毛皮を身にまとった王族貴族の肖像画を見たことがありませんか？そのように、貴重で高級な毛皮は一種の社会的ステータスとして用いられるようになったのです。同じ頃、毛皮をあしらった豪華な衣服が主君から部下への贈り物として使われていました。社会的ステータスである毛皮を部下に贈ることで、主従関係を再認識させるとともに主君としての偉大さをアピールしたのです。

• 日本では、西暦730年に中国から聖武天皇への貢物としてセーブルが入ってきたという記録があります。しかし、日本においてはヨーロッパほど毛皮が浸透しませんでした。日本は高温多湿のため、防寒着の毛皮を必要としなかったこと、気候が毛皮の保存に向いていなかったことが理由です。民衆の間で毛皮がブームになったのはバブル期のことです。特にミンクのコートが爆発的な人気になり、女性たちはこぞって着用するようになりました。バブル期の毛皮ブームをきっかけに、毛皮を民衆のファッションに取り入れる風潮が日本でも生まれます。こうして毛皮は、「寒さから身を守るためのもの」「権威や高い身分の象徴」から「民間ファッション」へと変化していったのです。

• 毛皮の価値が上昇

  毛皮の価値は上昇しています。その背景には毛皮動物の乱獲の歴史があります。軍用品としての毛皮需要・毛皮ファッションの浸透による毛皮産業の発達は、動物の乱獲を招きました。乱獲によりチンチラのように絶滅の危機に追いやられた動物もいます。このように絶滅の危機に頻している動物は、1973年のワシントン条約で保護されています。毛皮加工・毛皮製品の製造禁止の国もあるほどです。このように、ワシントン条約で毛皮への加工が禁止された動物、保護された動物の毛皮は価値が高くなっているのです。また、動物愛護の観点から毛皮製品を廃止したブランド（シャネル・グッチ・プラダなど）の毛皮も中古市場での価値が高まり続けています。

• 毛皮加工品の変化

  毛皮は様々な製品に加工されるようになりました。過去には防寒着から民間ファッションとしてのコートが生まれましたが、それでも毛皮は一般大衆からは遠い存在でした。しかし、現代においてはバッグやショール、ワンポイントだけ毛皮を利用した装飾品などにも加工されるようになりました。誰もが毛皮製品をカジュアルに身につけられるようになり、毛皮がますます私たちに近い存在になっていったのです。