結城紬の買取価格や高く売るポイントは?重要無形文化財に指定された技法や歴史も解説
結城紬は、奈良時代から続く高級絹織物で大島紬、牛首紬と並ぶ日本三大紬の一つです。
なかでも本場結城紬は、真綿から手で紡ぎだす糸が特徴で、軽くやわらかいだけではなく、丈夫さも併せもっています。
この記事では、結城紬の細かな特徴や見分け方、買取相場や高く売るためのポイントも紹介するのでぜひ参考にご覧ください。
大島紬をお持ちの方は、高価買取に自信のあるウリエルへご相談ください。
結城紬(ゆうきつむぎ)とは
引用:https://www.city.yuki.lg.jp/page/page001668.html
結城紬とは、茨城県の結城市や栃木県小山市を中心に、鬼怒川沿いでつくられている高級絹織物です。
大島紬と並ぶ日本三大紬の一つとされ、無地のほかにも亀甲、絵絣で文様が描かれています。
結城紬には、本場結城紬とそうではない結城紬があります。
本場結城紬はすべての工程を手作業で行い生み出される生地のため、その美しさはもちろんのこと、軽くて心地よく丈夫なのも特徴です。
日本全国の数ある紬の中でも、縦糸・横糸の両方に手紡ぎ糸を使うのは本場結城紬だけで、その工程の難しさや貴重さから、1956年に3つの技術国の重要無形文化財として登録されました。
・糸紡ぎ ・絣括り ・機織り |
そして、1977年には国の伝統的工芸品に指定され、2010年には「本場結城紬」の名称でユネスコ無形文化遺産に登録されました。
世界に誇る結城紬の歴史と技術を紹介していきます。
奈良時代から続く結城紬の歴史
結城紬の歴史は、奈良時代に常陸国から朝貢として朝廷に献上されていた「絁(あしぎぬ)」から始まったと言われています。
絁は手で紡いだ太糸の絹織物のことで、日本全国にあるさまざまな紬の原形と言われています。
のちに室町時代や鎌倉時代では、常陸紬(ひだちつむぎ)と呼ばれるようになりました。
鎌倉時代には見た目が質素で丈夫なことから関東の武士にも好まれ、生産の中心が結城地方へと移行しました。
室町時代には「結城紬」の名で幕府や関東管領に献上され、全国的に知られる物産となりましたが、「結城紬」という名称で、商品としての流通が盛んになるのは江戸時代以降です。
当時は男性ものとして店の旦那衆や武士などが好んで着ていました。
その後男性の洋装化が進み、明治時代以降は女性の着物として進化を遂げ、生地のデザインや質感など、技術の向上ともにさまざまな結城紬が生み出されていきました。
重要無形文化財に指定される結城紬の製作工程
本場結城紬は、製作工程そのものが高く評価されており、専門職が行う分業制で製作工程のすべてを手作業で行なっています。
結城紬の30以上ある工程のうち、特に「糸紡ぎ」「絣括り」「地機(じばた)織り」は、国の重要無形文化財にも指定されている技術です。
糸紡ぎ
引用:https://www.city.yuki.lg.jp/page/page001668.html
真綿を上記写真のようなつくしという道具に掛けて、両手の親指と人さし指で糸を紡ぎます。
つくしは大掛かりな道具ではなく、紡ぐ人が片手で持てる軽くて小さなものです。
結城紬の糸紡ぎ作業では、手元に置いた「おぼけ」の中に糸をためていきます。
指先で引き出しながら糸を紡ぐことにより、人の手でしか生み出せない、豊かな風合いが生まれるのです。
真綿48〜50枚に相当する糸が「おぼけ」に入る計算で、これを1ボッチという単位で数えています。
1ボッチ(※)の糸を紡ぐには5~10日ぐらいかかるため、とても根気の必要な作業と言えます。
※一反分は7.5ボッチ(15万円ほど)必要。
絣括り
引用:https://www.city.yuki.lg.jp/page/page001668.html
絣括りとは、着物の柄作りの工程です。
さまざまな模様をつくるため、括りによっては糸の太さを変えて、亀甲など代表的とされる模様の再現を行います。
結城紬は先染めのため紬の段階で色を付けますが、染めない部分には絣糸を使って絞るという工程が必要です。
また、どこをどう括るかは図案で決まっています。
絣括りの工程もまた、手作業で行うため繊細で美しい染め上がりを可能にしています。
地機織り
引用:https://www.city.yuki.lg.jp/page/page001668.html
結城紬は日本で最古の織機といわれている地機であり、人と織機が一つになることが特徴です。
結城紬を織る際には、織る人の腰に糸を掛けて張り具合の調整をしたり横糸を織るタイミングでも縦糸の張り具合を調整しながら全体のバランスを取ったりしながら織られます。
体全体を使わなければ織ることができないため、非常に高い技術が必要です。
この地機織りの技術が残る産地は日本全国をみてもわずかしかなく、貴重な技術と言えるでしょう。
結城紬の着物の特徴
引用:https://www.city.yuki.lg.jp/page/page001668.html
結城紬は、真綿から手作業で紡ぎだす上質な糸にあります。
真綿は蚕の繭を煮て、やわららかくして広げたもので、空気をたくさん含むため温かくやわらかい感触が特徴です。
その工程のほとんどが人の手で行われ、素材を損なわず真綿の魅力を最大限に生かした紬糸で織られます。
そのため結城紬は、美しい風合いと着心地のよさ、丈夫さを併せもつ最高級の紬として不動の人気を誇ります。
縦糸・横糸の両方に手紡ぎの糸を使うのは、日本広しといえども本場の結城紬のみです。
軽くてやわらかく丈夫
結城紬の着心地のよさは、結城紬の糸作りと織り技法から成せるもので、紬糸の原料となる繭の特性を壊さない糸作りが重要です。
代表的な繭の特性を5つご紹介します。
・通気性 ・酸化を防ぐ ・紫外線を防ぐ ・抗菌 ・保温 |
これらの性能を壊さないために、蚕を生きた状態で煮て真綿を取り出す「上生がけ」という特別な方法を用います。
この方法で鮮度がよい粘り気のある糸を作り、真綿を手で紡いで糸にします。
そのため、長く愛用しても劣化せず着るたびに風合いが増していくので、一生ものの着物として大切に着る方が多く、「三代着て味が出る」とも言われています。
洗うほどに美しく
結城紬は真綿糸を扱うために小麦粉による糊付けを行います。
これは結城紬に限ったことではなく、織った際の毛羽立ちや糸同士の摩擦を避けるため糸に糊をつける工程が必要なのです。
高級品である本場結城紬は、消費者の手に渡るまでに長い時間がかかるため、生地が痛まないようにしっかりと糊付けされています。
そして購入後に初めて湯通しされ、結城本来の風合いが現れるのです。
その後も洗うほどに糊が剥がれ落ち、着込むことで真綿のケバがとれる、その繰り返しの中でふわりとやわらかい絹本来の光沢へと変化します。
繊細な亀甲模様
結城紬は、精緻な亀甲模様や複雑な絣柄が美しく、なかでも代表的な文様は「亀甲絣」です。
亀甲とは、亀の甲羅の形がその名の由来で、長寿を願う吉祥紋様として古くから好まれている柄です。
反物に施される亀甲紋様は、1反の幅の中に並ぶ亀甲柄を、80亀甲、100亀甲、120亀甲、160亀甲などで示しています。
数字が高いほど、緻密で高度な熟練の技が必要です。
緻密な亀甲絣の本場結城紬に出会える機会はほとんどなく、現在生産されている結城紬はほとんどが80山亀甲か100山亀甲です。
結城紬の買取相場
結城紬は、本場結城紬と結城紬で区別されています。
茨城県結城市や栃木県小山市その周辺でつくられたものは本場結城紬とされ、それ以外の地域でつくられたものは結城紬と呼ばれています。
本場結城紬は、国の重要無形文化財に指定されいるため、買取価格が8万~10万円ほどの買取価格となることもあるでしょう。
また、人間国宝や有名作家の作品で証紙があるものも高額での買取が期待できます。
本場でない結城紬であっても、状態により差はあるものの数千~10万円で取引されています。
どちらも結城紬の着物としての価値は高く、中古であっても需要が高い織物です。
※相場は目安であり、買取価格をお約束するものではありません。
どんな結城紬が高価買取となるか
結城紬の買取査定額はさまざまな要素が影響するため、必ず高い価格で査定してもらえるという保証はありません。
高価買取の条件は次の通りです。
・本場結城紬か ・亀甲の細かさ |
それぞれの条件について詳しく説明します。
本場結城紬か
引用:http://www.okujun.co.jp/characteristic/
現在、本場結城紬は4種類に分類され、各々写真の通りの証紙が添付されています。
写真の左から順に以下のように貼られています。
・本場結城紬検査証 ・組合責任証(品質表示、産地証明、糸とり夫人図、検査証) |
本場結城紬検査証
検査証は、本場結城紬検査協同組合の指定条件に合わせてつくられます。
この検査証ラベルは、16項目の厳しい検査に合格したものに貼り付けられます。
組合責任証
組合責任証は、本場結城紬卸商協同組合が品質を保証している証紙のことです。
産地証明と糸とり夫人図、検査証の証紙は3枚1セットにして貼り付けてあります。
また、実際の製品には技法ごとの検査証や商標ラベルが組み合わせて貼られます。
亀甲(きっこう)が細いか
引用:http://www.honmono-yukitsumugi.jp/entry/67
結城紬の価値を判断するためには、亀甲の緻密さも重要です。
80亀甲・100亀甲など、数字が大きくなるほど緻密になり、完成までに長い年月と技術が必要となるため、価値は高く評価されます。
特に200亀甲以上の本場結城紬は稀で希少価値が高く、買取価格も高額です。
結城紬を高く売るポイント
結城紬でも、織り方や使われた機織機の種類によってランクが異なり、産地によっても買取価格は異なります。
高額査定が可能な本場結城紬であっても、状態や条件によっては買取額が下がってしまうこともあります。
買取を依頼する前に高く売るための注意点を確認しておきましょう。
状態は良好か
着物を少しでも高く売るには、なるべくシミ・シワ・虫食い跡・黄ばみ・汚れ・カビ・裾切れなどがない状態を維持しましょう。
着物に汚れがついている場合、簡単に落ちる汚れであれば落とします。
ただし、無理に汚れを落とすと生地を傷めてしまう恐れもあるので注意が必要です。
また、着物専用のクリーニングもありますが、査定前にクリーニングに出すのはおすすめしません。
査定額よりもクリーニング代が高額となってしまっては本末転倒です。
古くてシミなどがある場合でも、希少価値の高い結城紬であれば高値が付くこともあります。
証紙などの付属品は揃っているか
査定前には必ず証紙などの付属品を揃えておきましょう。
特に証紙は着物の価値を表すもののため、証紙ラベルの有無により査定額が大きく異なります。
検査不合格だったもの、証紙ラベルがない、本場の結城紬ではないものでも、それなりの買取価格は期待できますが、本場結城紬より安価になってしまうことは認識しておきましょう。
着物買取専門店に依頼
高額査定が期待できる結城紬ですが、業者の選び方を間違えると価値が高い品物も低価格査定される可能性があります。
リサイクルショップや古着屋でも着物の買取は行なっていますが、正しく査定するためには着物買取専門店に依頼しましょう。
着物買取専門店を選ぶ際も、経験豊富な査定士の在籍する買取店に依頼すると安心です。
また、出張買取やその場で現金買取をしてくれる業者もあるので、ニーズに合わせて選ぶことをおすすめ
まとめ
茨城県結城市を主な産地とする結城紬は、すべての工程を手作業で行う日本の伝統的な絹織物です。
買取価格は、織り方や機織り機の種類・産地・検査の合否などさまざまな要素で価格が決まるため、結城紬の中でも大きな差が出ます。
結城紬の中でも高額査定となるのは、茨城県結城市で生産された最高級の本場結城紬です。
状態が良好で証紙ラベルも揃っていれれば、1反で数百万円という値が付くものあります。
結城紬の買取は、高い専門知識をもつ査定士が在籍する買取専門店「ウリエル」にお気軽にご相談ください。
2つの買取方法