牛首紬の買取価格相場は?特殊な製法や歴史を詳しくご紹介
牛首紬は、石川県の白石市で作られている紬織物です。
耐久性に優れ、通気性もよく、美しい光沢があることから、洋装用の素材として海外からも注目されています。
この記事では、牛首紬の歴史や特殊な製法、買取価格の相場について紹介します。
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牛首紬(うしくびつむぎ)とは
引用:http://www.icnet.or.jp/dentou/national/09.html
牛首紬は、主に石川県白山市白峰地区を生産地とする紬織物です。
名称の由来は、生産地の石川県白山市白峰の旧地名である牛首村に由来しています。
牛首紬とは?
牛首紬は、大島紬・結城紬と並ぶ日本三大紬の一つと言われます。
日本三大紬として必ず挙げられる大島紬や結城紬とは異なり、第三の紬としての地位はこの牛首紬のほか塩沢紬や上田紬と言われることもあり、確定はしていません。
2匹の蚕が作った玉繭から手で糸を紡ぎ出す技術が織り込まれており、ふわりとやわらかで丈夫、そして光沢のある美しい織物は多くの人を惹きつけます。
最近では、パリコレに採用されるなど洋装の素材としての価値も認められ、海外からも注目されています。
また、下記はその製作過程が評価され受けた認定です。
昭和54年 | 石川県指定無形文化財 |
昭和63年 | 経済産業大臣指定 伝統的工芸品 |
平成19年 | 地域団体商標に石川県牛首紬生産振興協同組合が認定織物として「牛首紬」を登録 |
牛首紬の歴史
引用:http://www.icnet.or.jp/dentou/national/09.html
牛首紬は、平安時代末期に起こった平治の乱で敗れ、 白山の麓にある牛首村(旧・白峰村、現・白山市)に流れた源氏の落人、大畠某の同行していた大畠氏の妻たちが機織りの技を牛首村に住む村人に伝授したのが始まりとされています。
江戸時代に幕府直轄の天領となった白峰地方では、保護政策や経済の発達に伴い、牛首紬は全国的に販売されるようになりました。
明治時代以降には紬織りの発展によってさらに需要は高まり、生産販売体制が本格的に確立されました。
しかし、昭和10年前後をピークに需要の低下や国内情勢の影響を受け、商業としての生産は一時的に途絶えます。
その後、一部の職人によってその技術を保つだけとなりましたが、戦後の産業振興を目指す動きや人々の願いによって、再び牛首紬を生産する工場が稼働できるようになりました。
牛首紬の由来となった牛首村は、ダムの建設により今は存在していません。
現在は、石川県白山市と岐阜県大野郡白川村にまたがる白山の麓を主な生産地として生産が続けられています。
白山紬との違い
白山紬と牛首紬では織り方や使われている糸が異なりますが、仕上がりの風合いがとてもよく似ています。
牛首紬は高機で投げ緋を使った手織りで、緯糸に玉糸を使用して織られており、白山紬と比較するとしっとりとやわらかい生地の厚さが特徴です。
一方白山紬は、機械動力式の力織機を使った機械織りで、緯糸に人工的な節糸(スブラヤーン)を使用しており、牛首紬と比較すると生地が固く薄いと感じるでしょう。
手織りと機械織りとの違いや、糸の違いなどが生地の厚さや印象が異なる理由です。
また、牛首紬の場合は落款が押されていることもあり、証紙の違いでも判別ができます。
白山紬についてはこちらの記事もご覧ください。
白山紬とは:URL記載
牛首紬で最も重要な「糸の製法」
引用:https://ushikubi-tsumugi.com/process/
牛首紬の生産は、繭の買い付けから機織りまで20工程あり、そのほとんどを手作業で行なっています。
特に、製糸(のべびき)は均一な生糸を作ることが上等の紬の生産につながるため、20工程の中でも難しく重要な作業と言えるでしょう。
製糸では、繭全体の生産量の2~3%程度の割合でしか得られない、非常に貴重な双子の蚕から作った玉繭を用います。
引用:https://ushikubi-tsumugi.com/process/
2匹の蚕が作った玉繭から糸を取るのは、複雑に絡まった糸を手作業で引き出すという高度な技術を要します。
この作業は、製糸工の卓越した経験や技術に任される部分が多くなるため、熟練の腕が求められます。
石川県指定無形文化財は「すべての糸が玉繭から直接引き出されたものであること」と定められているので、この作業は牛首紬認められるために欠かせない、非常に重要な工程と言えるでしょう。
糸が引かれた後に牛首紬独特の作業である「糸はたき」と呼ばれる空気を含ませる作業を行うことで、蚕の糸がもつ本来のうねりを取り戻し、しっとりした糸へ仕上がります。
また、複雑に絡みあった糸で織られる布地は非常に丈夫で、板に刺さった釘を引き抜けると言われるほどの強度をもつことから、「釘抜紬」とも呼ばれます。
牛首紬の買取価格相場
牛首紬の買取相場はおおよそ~数万円です。
販売価格は中古で5~10万円、新品で数十万円するため、買取相場は購入額の約20%前後を想定しておくとよいでしょう。
ただし、状態がよい有名作家の作品など希少価値が高い場合には10万円を超える買取価格が付くこともあります。
また、手織りか機械織か、染色方法などでも査定額は大きく変わるうえ、加賀や京都などの有名な産地で友禅染めを施された牛首紬は人気が高いので、高価買取となる可能性が高いでしょう。
現在、牛首紬と公式に認められる着物を生産しているのは、「加藤手織牛首つむぎ」と「白山工房」の2か所の工房のみです。
白山工房は牛首紬の新しいスタイルを追及している工房で、品物によっては手作業ではなく機械織によって織られている場合もあります。
その一方で、加藤手織牛首つむぎは伝統的な牛首紬の伝承を重視しており、工程はすべて手作業という点にこだわっています。
手作業での製作にこだわっている加藤手織牛首つむぎの品物は生産量が少ないため、希少性が高くなる傾向にあるでしょう。
※相場は目安であり、買取価格をお約束するものではありません。
牛首紬を高く売るための注意点
牛首紬は、織り方や使用された機織り機の種類や染付の産地によっても買取価格は異なります。
高額査定が可能な牛首紬でも、保存状態や付属品有無などの条件によって買取額が下がるからです。
買取を依頼する前に高く売るための注意点を確認しておきましょう。
状態は良好か
牛首紬を少しでも高く売るには、可能な限りシミ・シワ・虫食い跡・黄ばみ・汚れ・カビ・裾切れなどがない状態で査定に出しましょう。
査定前には、自分で簡単に落せる汚れであればあらかじめ落としておきます。
着物専用のクリーニングもありますが、査定前にクリーニングに出すのはおすすめしません。
査定額よりもクリーニング代が高額となってしまう恐れもあるので、あくまでも簡単に自分で落とせる汚れのみ落としておきましょう。
証紙などの付属品は揃っているか
引用:https://ushikubi-tsumugi.com/kensa_hyouji/
牛首紬に限らず、着物を買取に出す場合に査定額に大きく影響するのが証紙です。
証紙とは、着物の品質を保証する内容が記載されたものです。
・産地 ・工房の情報 ・伝統工芸品マーク ・無形文化財であることを明記する印 など |
公式認定された牛首紬を購入した場合には必ず付属されているので、査定時には必ず証紙を一緒に提示しましょう。
着物買取専門店に依頼
牛首紬を売るなら、専門知識が豊富な査定士の在籍している着物買取専門の業者への依頼がおすすめです。
リサイクルショップや古着屋に買取依頼をしても、牛首紬の希少性や生地の上質さなどを理解してもらえず、査定額が低くなってしまう可能性があります。
牛首紬の本来の価値を見極められるよう、着物の専門知識をもつ買取業者に適正価格での査定をしてもらいましょう。
まとめ
引用:http://www.icnet.or.jp/dentou/national/09.html
牛首紬は、石川県白山市の周辺部を主な産地とし、ほとんどの工程を手作業で行う日本の伝統的な絹織物です。
牛首紬は、織り方や機織り機の種類、染めの産地などさまざまな要素で価格が決まっているため販売価格もそれによって大きく異なります。
牛首紬と公式に認められる着物は、「加藤手織牛首つむぎ」「白山工房」の工房で生産されたもののみです。
また、落款や証紙の有無は着物の価値を証明するためにはとても重要です。
買取査定時には必ず一緒に提示しましょう。
牛首紬の買取なら、高い専門知識をもつ査定士が在籍する買取専門店「ウリエル」へお気軽にご相談ください。
2つの買取方法