着物の染み抜きの方法は?具体的な手順を解説!おすすめのクリーニング店もご紹介します
着物の染み抜きをする場合、シミの性質に応じた対応が必要です。
この記事では、シミの種類と具体的な染み抜きの方法を解説いたします。
また、少しでも不安な場合は、着物クリーニング専門店に依頼するとよいでしょう。
そちらも併せて紹介しますので参考にしてみてください。
着物の染み抜きの方法はシミの種類によって変える
シミになる汚れの種類はさまざまです。
染み抜きをする際はシミの種類を見極めたうえで、それぞれに合った染み抜きを行いましょう。
対処法を間違えるとかえってシミが広がてしまうため、注意が必要です。
無理にこすったり熱を加えたりすることは、決して行わないようにしましょう。
また、シミができてから時間が経つと、染み抜きが難しくなります。
そのような場合は、初めから業者に依頼するのがよいでしょう。
シミの種類は主に「水溶性のシミ」と「油溶性のシミ」があります。
シミの原因が分からない場合は個人での対処は行わないようにしてください。
以下でシミの特徴と、染み抜きの仕方を解説していきます。
水溶性のシミの染み抜きの方法
まずは水溶性のシミを染み抜きする方法について解説します。
水溶性のシミの特徴や具体例を知ったうえで作業しましょう。
水溶性のシミとは?
水溶性のシミは、水に溶ける特性があります。
主に飲みものなどが当てはまります。
水溶性のシミには以下のものが挙げられます。
・お茶 ・コーヒー ・ジュース ・お酒 ・醤油 ・ソース など |
着物についてしまった場合は、次の手順を参考に染み抜きを行なってください。
水溶性のシミの染み抜きの手順
用意するもの
水溶性のシミを染み抜きする際は、以下のものを用意してください。
・中性洗剤(液体型) ・タオル(複数枚) ・洗面器やボウル ・綿棒 ・ガーゼ ・着物用ハンガー |
具体的な手順
以下が染み抜きの手順です。
1.床に着物を広げ、シミの裏にタオルを敷く 2.洗面器に40℃以下のぬるま湯をため、別のタオルを浸して固く絞る 3.シミを軽く叩いて裏のタオルに汚れを移していく ※ここまででシミが取れない場合は手順4に進みます 4.洗面器に中性洗剤少しだけ加えて1~3の手順を繰り返す 5.シミが取れたらぬるま湯から絞ったタオルで洗剤を落とす 6.乾いたタオルで着物の水分を取る 7.最後にハンガーに吊るして水分が取れるまで干す |
染み抜きする際の注意点
染み抜きをする際、着物の種類によっては洗剤との相性で色落ちする可能性があります。
特に、物に多く用いられている正絹(しょうけん:シルク素材のこと)は水に弱く、水分を多く含むと型崩れすることもあるため注意が必要です。
着物に洗剤をつける際は、最初に目立たない箇所に洗剤をつけて色落ちしないか確かめた後に染み抜きするとよいでしょう。
また、金箔や刺繍などがある場所は染み抜きができません。
金箔や刺繡にシミがついてしまった場合は、無理に自己処理せず、着物をクリーニングに出しましょう。
油溶性のシミの染み抜きの方法
次に油溶性のシミを染み抜きする方法をみていきましょう。
油溶性のシミにはベンジンを使いますが、とても危険な薬品のため、作業する際は注意が必要です。
主な注意点も解説しているので、作業前に確認しておきましょう。
油溶性のシミとは?
油溶性のシミとは、油分を含んだシミのことです。
水だけでは落とすことができないため、ベンジンという薬剤を用いて染み抜きを行います。
油溶性のシミは主に以下の通りです。
・マヨネーズ ・ドレッシング ・バター ・チョコレート ・口紅 ・ファンデーション など |
油溶性のシミの染み抜きの手順
用意するもの
油溶性のシミを染み抜きする際は以下のものを用意してください。
・クリーニング用のベンジン ・薄手のタオルまたはガーゼ(複数枚) ・汚れてもよいタオル(複数枚) ・着物ハンガー |
また、ベンジンは強い溶剤なので、身を守るために以下のものも用意しましょう。
・ゴム手袋 ・マスク ・ゴーグル など |
具体的な手順
以下が染み抜きの手順です。
1.着物を床に広げ、シミの裏にタオルを敷く 2.ガーゼまたは薄手のタオルにベンジンを染み込ませる 3.ガーゼでシミの部分を軽く叩き、シミをぼかしていく 4.ガーゼに汚れが移ったら新しいガーゼに変える 5.2~4を繰り返す 6.最後に着物ハンガーにかけてよく乾かす |
ベンジンを使う際の注意点
着物の変色や色落ちに注意
ベンジンはとても強い溶剤なので、取り扱いには注意が必要です。
着物の生地や染色の仕方によっては変色が起こる可能性があります。
1度目立たないところでベンジンを使用してみたうえで染み抜きを行なってください。
また、ベンジンをつける際に強くこすると、摩擦によって色落ちが発生する場合があります。
作業する際は優しく丁寧に行いましょう。
作業する環境には注意
また、ベンジンは人体に害のある物質を放出する可能性もあるため、換気を怠らないよう注意しましょう。
ベンジンを使用する際はマスクやゴーグル、手袋などを装着して、目や口に薬品が入らないようにします。
部屋の中は窓を開け、換気をしっかりと行いましょう。
また、ベンジンは引火性なので、作業中にストーブやコンロ、ライターなどは使わないでください。
泥汚れの染み抜きの方法
泥汚れは乾燥させて払い落とすことができます。
以下で詳しくみていきましょう。
泥汚れの染み抜きの手順
泥汚れの染み抜きを行うには、まず泥を乾かさなければなりません。
まずは陰干しを行いましょう。
着物ハンガーに着物を吊るし、日陰や風通しのよい部屋に2~3時間ほど干しておくと水分が抜けます。
乾かした後にブラシや乾いた布で払い落とすと、泥汚れは取り除くことができます。
それでもシミが残ってしまった場合は、着物クリーニング専門店を利用してください。
染み抜き後の乾かし方
染み抜きをした後は水分をきれいに乾かさなければ輪ジミができる可能性があります。
乾かし方のコツは霧吹きで1度周囲をぼかしてから乾かすことです。
霧吹き後は乾いたタオルで挟み、水気を取ります。
その後ドライヤーで周りから中心に向かって風をおくるときれいに乾かすことができるでしょう。
また、ドライヤーの温風は近くで当てると傷みの原因となるため、少し離しましょう。
着物の染み抜きはクリーニングに出すのがおすすめ
シミの種類によっては、家庭で染み抜きできないことも珍しくありません。
そのような場合は着物専門のクリーニング店へ依頼しましょう。
シミに応じて適切に対応してくれます。
家庭では落とせないシミ
以下のシミは、ご家庭では染み抜きが難しいためクリーニングを利用しましょう。
付着してから時間が経過したシミ
シミは時間が経過するほど落とすことが困難です。
ついた時点で早めに対処しましょう。
大きなシミ
500円玉のサイズを超えるシミは大量の溶剤を必要とするため、家庭では落とせません。
色素が濃いシミ
赤ワインなどのように色素が濃い場合は専門の洗剤が必要です。
あちこちに散らばったシミ
散らばったシミを自分で染み抜きするとますますシミが広がる可能性があります。
水溶性と油溶性が混ざったシミ
水溶性と油溶性のシミが混ざると上記の方法とは別の対処が必要です。
血液のシミ
血液のシミは落とすのが難しく、熱を加えると凝固するため注意しましょう。
それぞれのシミ専用の溶剤がある
着物クリーニング専門店には、シミに対する正しい対処を行える道具や洗剤が揃っています。
そのため、ご家庭では難しいとされる赤ワインの染み抜きなども行なってくれるでしょう。
また、着物に対する正しい知識も備わっているため、大切な着物を傷めることがないのも専門店に依頼するメリットの一つです。
クリーニングでの染み抜きの料金は?
着物のクリーニングは数千~1万円程度ですが、染み抜きの場合はオプションで料金を取られる場合がほとんどです。
染み抜きの具体的な料金は実際の状態を見たうえで判断するので依頼する店や、シミの大きさ、着物の質などで価格は大きく変動します。
利用の際はあらかじめ見積もりを取りましょう。
クリーニングに出す際の注意点
業者によっては、見積もりを出さずに独断で染み抜きを行ない、後から料金を請求されるケースもあります。
依頼する際は、先に見積もりをとってくれるか確認しましょう。
信頼できるおすすめの着物専門クリーニング店
まとめ
ここではご家庭でできる染み抜きの仕方について解説しました。
染み抜きの際はベンジンの扱いなどに注意し、丁寧に作業してください。
また、不安がある場合は着物クリーニング専門店などに依頼しましょう。
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