総絞りの着物の買取価格とは?振袖でおなじみの総絞りの特徴や買取価格を上げるポイントも解説
引用:https://myfurisode.com/blog/5330/the-price-of-soshibori/
総絞り(そうしぼり)の着物は華やかで品のある着物です。
成人式などでも総絞りの振袖はとても人気があります。
一つひとつ職人の手によって丁寧に作られており、手間と時間がかかることも特徴の1つです。
今回はそんな総絞りの特徴や高価買取のポイントについて解説しているので、参考にしてみてください。
総絞りの着物とは?
総絞りの着物とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか。
以下で詳しくみていきます。
布地のすべてを絞り染めで染めている着物
総絞りとは、布地のすべてに「絞り染め」という染色の技法が使われているものを指します。
絞り染めは、生地を糸で括ったり、器具で挟んだりすることで染まらない場所を意図的に作り、着物の模様を表現する技法です。
総絞りには、そんな絞り染め技法が布地全体に施されている着物を指します。
また、生地には正絹(しょうけん)が使われ、一つひとつを職人の手作業で手間をかけて作られるため、高級な着物としても知られます。
その模様は美しく華やかで、江戸時代には女性たちの憧れだったようです。
成人式などで人気な総絞りの振袖
引用:https://miyatakekoubou.com/blog/post-5825/
総絞りは成人式で着られる「振袖」に多く用いられています。
とても華やかで可愛らしい見た目なので、レンタル着物でも人気があります。
ただし高価なため、レンタル着物の中でも数が限られており、成人式で着たい場合は早めの予約が必要とされます。
また、近年では卓球の「福原愛選手」が結婚式で総絞りの振袖を着用したことも話題にもなりました。
その際に着ていた振袖は「藤娘きぬたや」という着物メーカーです。
「藤娘きぬたや」の品質や美しさは他のメーカーからは群を抜いており、まさに日本を代表する総絞りのメーカーと言えます。
江戸時代から贅沢品として知られる
このように、とても豪華な印象の総絞りの着物ですが、江戸時代には禁止されていたこともあります。
江戸時代には当時「総鹿の子絞り(そうかのこしぼり)」が流行っていたようで、庶民の間でも憧れの着物でした。
しかし、その後「奢侈禁止令(しゃしきんしれい)」といって、倹約や節制にはげみ、贅沢を禁止する法律が出されたことで、総絞りの着物は禁止されます。
この奢侈禁止令は徹底されていたようで、大奥の中でも総絞りの着物は着用禁止だったようです。
インド発祥でシルクロードを通り日本に伝わる
絞り染めの技法はインドで発祥し、奈良・飛鳥時代にシルクロードを通って日本に伝わったとされています。
正倉院にも所蔵が確認されており、おそらく染色の技法の中では日本古来のものと言えるでしょう。
その後絞り染めは、長い歴史を辿る中で職人たちの創意工夫によってさまざまな種類が生まれました。
総絞りの特徴とは?
引用:https://www.kimono-365.jp/rental/detail/?product_id=91737
次に総絞りの着物の特徴について解説します。
立体感のある風合い
絞りは糸をくくって染めるため、生地の表面に凹凸ができます。
日本最古の染色技術
絞り染めの技法は先ほども述べた通り日本古来のものです。
絞り染めは奈良時代を代表する3つの模様染色法である「三纈(さんけち)」の中の1つで、「纐纈(こうけち)」を指します。
この古来からの技法で生地は美しく鮮やかに染まります。
一つひとつが職人による手作業
総絞りは一つひとつが職人による手作業によって作られます。
総絞りの持つ繊細さや鮮やかさを表現するためには、職人の一つひとつの作品に多くの時間や労力をかける必要があります。
1つの作品が完成するまで短くても数か月かかり、長いときは1年以上かかることもあるようです。
絞りを作る工程
絞りを作る工程はとても多く緻密です。
この複雑な工程と絹などの希少な素材を使っているため、絞りの着物は高価です。
染色の工程は、以下の通りです。
1.構図を決める
まずはデザインを決めて、下絵を書きます。
2.型紙を作る
型紙に堀を入れて型を作ります。
3.布地に柄を入れる
布地に型紙で柄を刷り込みます。
4.絞りくくり
絞りを一つひとつ作ります。
5.漂泊する
布地の汚れを漂泊します。
6.染め分ける
色を付ける場所を分けます。
7.染色する
くくりのうえから染液をつけて染色します。
8.仕上げ
全ての仕上げを行ないます。
絞りで有名な産地
江戸時代では高級な絞りとして知られる「京鹿の子」と一般的に広まっていた「地方絞り」に分類されます。
現在では京都と愛知県有松地区が絞りの2大産地として有名です。
江戸時代末期から明治時代の間に絞り染めは多くの地域で作られていましたが、第二次世界大戦後の不況などの影響で次第に衰退しました。
以下の地域では今も絞りの生産が行なわれています。
・福岡県(博多絞り) ・新潟県(白根絞り) ・大分県(豊後絞り) ・熊本県(高瀬絞り) ・秋田県(浅舞絞) |
絞りの着物の格式
絞りを生地として使用した着物は以下の通りです。
・振袖 ・訪問着 ・色無地 ・付け下げ ・小紋 |
総絞りを用いた振袖や訪問着は礼装という、もっとも高い格式です。
総絞りの名門メーカー「藤娘きぬたや」などの振袖は披露宴やパーティなどのフォーマルな場面で活躍します。
一方で、絞りの色無地や付け下げ、小紋はカジュアルな場面に着ていく着物です。
TPOに合わせて着物を使い分けましょう。
総絞りの着物を着ることができる年齢
総絞りの着物は「若者の着物」とされていた時期もありましたが、現在は着る年齢に制限はありません。
ただし、振袖は未婚女性の礼装なので、既婚者は着用できません。
人気の総絞りの種類
総絞りの着物は50種類は以上あるといわれています。
その中でも有名な絞り染めについて解説します。
鹿の子(かのこ)絞り
引用:http://www.kyokanoko-shibori.or.jp/feature.html
「鹿の子絞り」は最もポピュラーな絞り染めと言えるでしょう。
江戸時代にはそんな鹿の子絞りを生地全体に施した「総鹿の子」が流行しました。
その人気ぶりから奢侈禁止令が出されたのは先ほど述べた通りです。
鹿の子絞りの中でも京都で生産された、生地に絹を用いたものは「京鹿の子絞り」と呼ばれ伝統工芸品にも指定されています。
辻が花(つじがはな)
引用:https://nuitori.com/tsujigahana-2013
「辻が花」は室町時代から安土桃山時代の間で誕生しました。
当時は一世を風靡しましたが、江戸時代に「友禅染」が流行りだしたことで人気がなくなってしまいます。
当時の作品や資料の少なさから「幻の絞り」とも呼ばれる総絞りです。
現代の定義では「絞り染めを基調とし、摺箔・刺繍・描き絵などを併用したもの」として知られています。
疋田(ひきた)絞り
引用:https://nuitori.com/hikita-shibori-927
鹿の子絞りの技法の1つが疋田絞りです。
中でも、全てを手作業で行なう場合は本疋田絞りと呼ばれます。
模様がとても細かく、高価な絞りとして知られます。
帽子絞り
引用:https://tsugumono.jp/project/arimatsu_scarf/
帽子絞りは絵模様を描く際に行われる技法です。
防染にはビニールや竹串が使われます。
制作中の様子が帽子を被っているように見えるためこの名が付きました
鳴海・有松絞り
引用:https://wowma.jp/item/375920782
愛知県名古屋市にある有松地区を代表する絞りの技法です。
木綿の生地に藍色の染色が施されます。
糸の縫い方によって12種類の技法があることも特徴です。
1975年には伝統工芸品にも指定されました。
縫い締絞り
引用:https://www.fashion-kyoto.or.jp/orikyo/gijyutu/nuishimeshibori.html
生地の1部分を糸で縫った後に染色するします。
糸で締めた後に染めるので、その部分だけ染料が入らないのが特徴です。
生地の材質や、縫い目の大きさでさまざまな模様があらわれます。
日の出絞り
引用:https://www.pinterest.jp/pin/794181715514270729/
縫い目絞りの技法を応用した技法です。
その名の通り日の出のような丸い柄を特徴としています。
人目絞り
引用:https://www.cosaienstore.com/SHOP/HC0002.html
4つ折りにした記事に糸を2度巻きつけ、絞りを入れる技法です。
人の目に似た模様に仕上がるため、このように呼ばれています。
竜巻絞り
引用:https://sumiredou.exblog.jp/16868780/
棒状に巻いた生地に糸を螺旋状に巻きつけて染色を施します。
染色後は流動的な線の模様が付くのが特徴です。
むらくも絞り
生地にわざとシワを寄せて染色を施します。
色むらのある風合いが特徴です。
販売価格や買取相場は?
総絞りの着物の販売価格と買取価格についてそれぞれ解説します。
総絞りの振袖の販売価格は?
総絞りの着物の販売価格は最低でも30万円はするでしょう。
絞りの最高峰メーカー「藤娘きぬたや」の着物だと200万円以上することもあります。
絞り染めの技法には多くの時間や手間がかかるため高価ですが、それだけ高い価値がありす。
また、総絞りの着物は人間国宝の作家の作品だと1,000万円以上の価格になることもめづらしくありません。
総絞りの着物の買取相場は?
買取相場は、一般な総絞りでは~10,000円が相場です。
また、人間国宝に指定された有名作家のものでは10万円を超えることもあり、着物の買取の中では高価買取が期待できるでしょう。
総絞りの振袖の買取相場は?
総絞りの振袖は~25,000円が買取相場です。
振袖そのものが人気が高いことや、総絞りが希少であることから高価買取の傾向があります。
「藤娘きぬたや」着物の買取相場は?
「藤娘きぬたや」は愛知県名古屋市に拠点を置く総絞りの名門メーカーです。
着物のデザインや、プロデュースを全て社長の「伊藤嘉秋(いとうかしゅう)」が行なっています。
国内外でとても人気のある着物です。
藤娘きぬたやの着物は高価買取の傾向があり、35,000円前後で取引されます。
買取価格を上げるポイント
総絞りの着物の買取価格をなるべく上げたい場合は、以下の点に注意するとよいでしょう。
証紙と落款を確認
着物を買うと証紙が必ず着物に付いてきます。
そのときの証紙は捨てずに保管しておきましょう。
証紙の有無によって買取価格に大きく差がつくこともあります。
また、作家着物の場合は落款があるかも確認しましょう。
落款とは作家のサインのようなもので、「その作者が仕立てた証」です。
落款のある位置は、おくみか衿先に多くみられるので確認しましょう。
保存状態を確認
買取価格を下げないためには保存の仕方に気を付けましょう。
着物は湿気に弱いという性質があり、湿気の多い場所に収納していると型崩れや色落ちの原因になることもあります。
また、湿気によってカビが発生することにも注意して、着用後にはしっかりと陰干しして水分を飛ばしましょう。
陰干しの方法は、日の当たらない風通しのよい場所で2~3時間ほど着物ハンガーに吊るします。
このとき直接日光に当てたり、長時間放置し続けるのは色あせの原因になるのでやめましょう。
陰干しが終わったらたとう紙(たとうし:着物を包むための紙)に包んでタンスに収納します。
収納する場所は除湿剤などを置いて湿気がたまりにくいようにしましょう。
サイズによっても価値が変わる
着物はさまざまなサイズがありますが、需要の高いサイズは限られています。
たとえば、160cm未満の身丈や65cm未満の裄丈は小さいサイズに分類されるため、売れにくいと言えるでしょう。
ですが、有名なブランドのものや、状態がよいものは高価買取できる場合もあります。
着物を専門に扱う業者に依頼する
着物を売る店によっても買取価格に差が生まれます。
たとえば、リサイクルショップなどでは多くの商品を取り扱っていますが、高級な着物でも安く買い取られてしまう場合もあるでしょう。
なぜならリサイクルショップには着物に詳しい査定士がいるわけではなく、専門知識のないスタッフが値段を付けることが多いからです。
着物を売る際は専門知識のある査定氏が在籍する買取専門店に依頼するとよいでしょう。
売る際はお早めに
どれだけ状態をよく保っていても、着物は必ず劣化します。
特に総絞りの振袖に使われている正絹は繊細な素材です。
時間が経つほどに生地の持つツヤや滑らかさは失われます。
ですので、売ることが決まっているときは、なるべく早く査定に出すのがおすすめです。
まとめ
総絞りは人気の着物なので高価買取が期待できます。
着物の売却をお考えでしたら、買取価格に自信のあるウリエルにお任せください。
2つの買取方法