着物の臭い取りはどうすればよい?具体的な方法や注意点について解説
着物の不快な臭いの原因は主にカビや防虫剤の臭いです。
それらの臭いを取るためには、さまざまな方法があります。
ここでは着物の不快な臭い取りの方法をみていきましょう。
着物の臭いの原因とは
着物の臭いの原因として多いのが「カビ」と「防虫剤」です。
それぞれ詳しく解説します。
カビによって臭いが発生するパターン
着物の不快な臭いの多くはカビよるものが多いです。
着物を着た後に付着した水分を飛ばさずに着物を着ると、カビの菌が発生して臭いの原因になります。
カビの種類は主に以下の3種類です。
・白カビ ・黄カビ ・黒カビ |
この中で簡単に落とせるのは白カビです。
白カビは白く点在したカビで、ご家庭で簡単に応急処置ができます。
黄カビは白カビを長い間放置して、若干黄色くなったカビです。
そこからさらに時間が経つと、カビの色が黒や茶に変色します。
ここまでくるとカビの繁殖がかなり進んでいるため自分で落とすことは難しいでしょう。
その場合はクリーニングに出すのがおすすめです。
また、カビを落とすことは大事ですが、それ以前にカビへの対策をしましょう。
後述しますが、陰干しを定期的に行い着物の湿気を落とすことでカビの発生を防ぐことができます。
防虫剤の臭いが移るパターン
防虫剤の臭いが着物に移るパターンもあります。
防虫剤に含まれる、ナフタリンや樟脳といった物質は虫を防ぐことは出来ますが、特有の強い臭いが特徴です。
そのような臭いを防ぐために、無香料の防虫剤なども販売されていますが、他の防虫剤と併用すると化学変化を起こし、着物を痛めてしまう場合もあるので注意しましょう。
着物の臭い取りの方法は?
着物の臭いを取る方法はさまざまです。
それぞれ以下で解説します。
表面のカビをとる
カビ臭さをとるためには、まずは表面についたカビを落とすとよいでしょう。
用意するもの
・着物用のハンガー ・タオルや布など ・ビニール袋 ・カビから身を守るもの(軍手やマスクなど) |
具体的な手順
1.部屋の換気やマスク・手袋の着用を行う 2.布を軽く当てて払うようにカビを落とす(強く押さないように注意) 3.陰干しをする(陰干しについては後述) 4.部屋の掃除をする |
注意点
表面のカビ取りは、天気のよい日に屋外で行うのが理想ですが、室内で行う場合は換気をしっかりと行い、床に新聞紙をひくなどしてカビが付着するのを防ぎましょう。
作業中はカビの胞子を吸い込まないように、軍手やマスクなどを必ず着用してください。
また、作業後はしっかりと部屋の換気を行って掃除を行いましょう。
でないと、カビの胞子が部屋に残り、アレルギーなどを引き起こす可能性があります。
陰干しして臭いを飛ばす
臭いの対策には陰干し(かげぼし)が有効です。
陰干しとは日光のあたらない場所で着物を干しておくことを指します。
具体的な方法
着物ハンガーに着物をかけて、形を整えて干します。
そのまま2~3時間経ったら着物をたたみ、たとう紙(着物を包むための紙)に包んで収納しましょう。
陰干しを屋外で行う場合は直射日光を避け、屋内で行う場合は換気をしておくとよいですね。
陰干しする注意点
・長時間の陰干しは避ける(2~3時間を守る) ・日光は絶対に直接当てない(色あせの原因になる) ・夕方は湿気が多いため取り込む |
着物を着る予定があれば、予定日の数日前に陰干しを行っておくと、臭いを軽減できるでしょう。
また、着る機会がなくても定期的な陰干しによって、カビや害虫を防ぎます。
風をあてて乾燥させる
陰干しだけでは臭いが取れない場合があります。
そのような場合はドライヤーの冷風や扇風機の風を利用して臭いを飛ばすとよいでしょう。
具体的な手順
着物を着物ハンガーで吊るし、ドライヤー又は扇風機で風を送ります。
風を当てる場所を変えながら風が着物全体に当たるように工夫しましょう。
着物が風でねじれない程度の風量で行うことがポイントです。
また、日光には当てないようにしましょう。
ドライヤーを用いる際の注意点
・温風は絶対にあてない(生地がかなり傷みます) ・スイッチがONの状態で放置しない(火災の原因になります) |
即効性のある方法なので、すぐに着物が必要になったときは実践してみてもよいでしょう。
お茶の葉を使う方法
緑茶の葉は着物の臭い取りにはとても効果的です。
用意するもの
・お茶の葉 ・和紙か半紙 ・フライパンかお鍋 ・たとう紙(たとうし:着物を包むための紙) |
具体的な手順
1.お茶の葉をフライパンで炒る 2.お茶の葉が緑色から茶色に変わったら火を止めて粗熱を取る 3.炒った茶葉を半紙に包む 4.畳んだ着物の間に半紙で包んだ茶葉を入れる 5.最後にたとう紙で着物を包みタンスなどに収納する |
日常的に着用しない高価な着物は、カビや防虫剤の臭いがつきやすい傾向があります。
長時間の収納が予想される場合は、紹介したお茶の葉を使った方法をお試しください。
また、半紙からお茶の葉が漏れないように半紙の包み方は厳重に行いましょう。
変色の原因になってしまいます。
備長炭シートを使用
着物の臭い対策には備長炭シートの使用がおすすめです。
備長炭シートには
・調湿効果 ・防虫効果 ・抗菌効果 |
備長炭シートがあれば、梅雨などの湿気が多い時期でも湿度を下げ、カビの発生を防いでくれるでしょう。
また、備長炭には「酸化還元効果(アルカリ化)」という機能も存在します。
この効果によって、酸化した場所を好む雑菌や害虫などを寄せ付けずにすむでしょう。
備長炭シートは1度貼れば効果はかなり長続きします。
使い方は簡単で、収納スペースの底部分に適度な大きさに切って貼っておくだけです。
価格帯も手ごろで、1000~10,000円ほどで購入できます。
ホームセンターやインターネットで簡単に手に入れることできます。
帯の臭い取りの方法は?
着物だけではなく、帯にもカビ臭さが漂うことがあります。
帯も着物同様に湿度の対策はしておきましょう。
帯芯のカビが臭いの原因
帯がカビ臭いと感じる場合は、帯芯のカビを疑いましょう。
帯芯は目に見えない部分なので、繁殖がかなり進んだ状態で気付くことがあります。
そのような場合、帯芯の交換が必要とされることがほとんどです。
帯芯のクリーニングやシミ抜きも出来ますが、対応していないお店も多いため、交換する方が無難でしょう。
帯の臭い取りは専門店へ任せよう
帯の臭いを取るには帯芯の交換が必要です。
その場合は着物をクリーニングに出しましょう。
また、着物のクリーニングは「洗い張り」を行っている業者がおすすめです。
「洗い張り(あらいばり)」とは、着物を洗う前に1度糸を抜いて生地に戻し、再び仕立て直す方法です。
帯の洗い張りの価格帯はさまざまですが、8,000円前後が多いです。
以下参考にしてみてください。
着物の臭い取りの注意点
着物の臭い取りには注意点もあります。
大事な着物を痛めることの無いように注意しましょう。
カビを水分を含んだもので拭かない
着物のカビを水分を含んだタオルなどで拭くのはやめましょう。
カビの増殖を手助けしてしまう可能性があります。
もしどうしても乾いた布だけでは落ちないカビを水を使って落とす場合は、カビを落とした後に少なくとも1~2日以上の陰干しを行って完全に水分を飛ばさなければいけません。
水分が残った状態で着物を着用すると、以前よりもカビが増殖する可能性があります。
消臭スプレーやアルコールは使わない
着物の臭いが気になるからといって、消臭スプレーを使うのは絶対にやめましょう。
水分が多いため、カビやシミの原因になります。
またアルコールの使用も、着物の生地を痛めてしまうため、使用は絶対に控えましょう。
正絹は湿気に非常に弱く、さまざまな化学成分に対しても耐性がありません。
着物の変色や生地の変性、色落ちの原因となるため、消臭スプレーとアルコールは使用しないでください。
直射日光にさらさない
着物を日光に当ててしまうと色あせの原因になるため、必ず着物は陰干ししましょう。
また、陰干しであっても、長時間干し続けるとやはり色あせてしまいます。
干す際は日陰で2~3時間程度をまもり、湿度の高い夕方は避けましょう。
香水や臭い袋は使用しないこと
カビ臭さが気になるからといって香水や臭い袋を使用するのはやめましょう。
香水が着物に付着すると、着物の変色を引き起こす場合があります。
また、臭い袋と防虫剤の臭いが混じってしまうと、より不快感のある臭いに変わるため注意が必要です。
どうしても香水や臭い袋を使用したい場合は、着物に直接触れない場所に少しだけ付けましょう。
根付いたカビは取れにくい
前述した方法は、表面に発生した白カビのみを落とす方法です。
着物の奥まで根付いた黄カビや黒カビには対応できないため注意しましょう。
以上の応急処置でカビ臭さが取れない場合はクリーニングの依頼も検討してください。
着物のクリーニングは下記のような専門業者がおすすめです。
まとめ
帯や着物の臭いを取る方法はさまざまです。
着物の臭いにお困りの際は当記事の方法を参考にしてみて下さい。
また、ご自分で臭い取りを行うのが難しい場合はクリーニングの依頼も検討しましょう。
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