作家・志村ふくみの着物の特徴や代表作品は?買取相場や高価買取のコツもご紹介
90代の今もなお染織家として活躍する「志村ふくみ」は、織物の世界で数々の賞を受賞してきました。
作品を作るだけでなく、伝統工芸を絶やさないよう次の世代へと素晴らしさを伝える活動も行なっています。
この記事では、そんな志村ふくみの着物の魅力や買取相場のほか、高額査定されるポイントもご紹介するのでぜひ参考にご覧ください。
志村(しむら)ふくみとは?
引用:https://shimuranoiro.com/profile/
志村ふくみの特徴と経歴
1924年滋賀県近江八幡で生まれた志村ふくみは、植物染料を用いた紬織物で知られる染色家です。
31歳の頃母親である小野豊の指導を受けて、織物の世界へと足を踏み入れました。
草木染めをした絹糸で作られる紬は独創的な美しさがあり、自然との共生を表現しています。
そんな志村ふくみの作品は広く認められており、1957年に第4回日本伝統工芸展に初出品をして入選を果たしてからは、さまざまな賞や勲章を受賞しています。
・日本伝統工芸展にて文化財保護委員会委員長賞などを受賞
・第30回京都賞受賞
・紫綬褒章受賞
・文化勲章受賞
・京都市名誉市民
そして1990年、元々は農民が手仕事で作るものであった「紬」を芸術品の域に高めた功績を認められ、重要無形文化財保持者(人間国宝)に選出されました。
植物や自然、命を大切にして作り上げる作品はとても貴重であり、着物を愛する人や有名人など多くの人に支持されています。
また随筆家としても活躍しており、1983年に「一色一生」で大佛次郎賞を、2006年には第14回井上靖文化賞を受賞しました。
今もなお現役で活躍する作家である
志村ふくみは、90歳を超えた今もなお、染織の世界で活躍しています。
1968年に京都市右京区嵯峨野で立ち上げた工房は、娘であり同じ染織家の志村洋子が受け継ぎ志村ふくみの作品世界を支えています。
志村ふくみは90代と高齢ですが、娘や孫のサポートにより、現役として活躍しているようです。
さらに、次の世代へ技術や考え方などを伝えていく活動も行なっています。
近代文明の危機を打破すべく芸術学校を設立
2011年3月の東日本大震災後、志村ふくみは自然と共に育んできた染織の文化が永遠のものではないと感じました。
そのことをきっかけに、娘の洋子、孫の昌司とともに芸術学校「Ars Shimura(アルスシムラ)」を開校したそうです。
1校目は2013年京都市左京区岡崎市にて、さらに2015年には右京区嵯峨にて2校目を設立しました。
芸術学校「Ars Shimura(アルスシムラ)」では、草木を使って糸を染め、手機で織ることを経験しながら学べる場です。
開校以来多くの人が、染織の技術だけでなく、志村ふくみと洋子が大切にしている精神を学んでいます。
志村ふくみの作品(着物や帯など)の特徴
引用:https://shimuranoiro.com/profile/
天然の草木から抽出した「草木染め」
志村ふくみの作品には特徴の一つとして、植物から得られる天然色素を使って染める「草木染め」という手法があります。
工房がある嵯峨野は野山や自然が多く、工房の近くで採れる草木を使って糸を染めるのです。
一般的な草木染めとは違い、志村ふくみの草木染めは独自の手法を使って進化させたもので、その仕上がりの美しさはまさに芸術品と言えるでしょう。
自然な色合いと奥行きのある風合いが魅力で、草木で染めたとは思えないほどに色鮮やかなのが特徴です。
丈夫で味のある風合いの「紬織り」
「紬織り」は、木綿を使ったものもありますが、志村ふくみが作る紬は絹糸が使われています。
蚕の繭から繰り出し手で撚りをかけて作られる糸は、太さが均一ではなく細い部分と太い部分があるのが特徴です。
そのため、平織に折り上げた際に畝(うね)が現れてざっくりとした雰囲気に仕上がります。
元々紬は農民が自分で着るために手機で織る織物で、丈夫で染めやすいこともあり、多くの一般庶民が着用するものでした。
しかし近年は、志村ふくみをはじめとする染織作家によって、紬の芸術的な価値が高められ、伝統工芸品として人気となっています。
絹糸で織られた紬は使うほどにツヤが増し、経年変化を長く楽しめるでしょう。
志村ふくみの代表的な作品
志村ふくみの代表的な作品は、アトリエシムラShop&Galleryで開催される特別展や東京国立近代美術館、京都国立近代美術館などさまざまな施設で展示されています。
藍色が印象的な「秋霞 (1958年)」や月が登ってくる瞬間を描いた「月の出 (1985年)」など他にはない志村ふくみならではの世界感が魅力です。
・鈴虫(1959年)
・嵯峨野(1960年)
・梅の段(1981年)
・風露(2000年)
・舞姫(2013年)
他にも多くの作品が芸術品として展示されているので、機会があればぜひご覧になってください。
また、志村ふくみは日本の伝統文化を代表するものとして、代表作を掲載した作品集も出版されています。
販売価格と買取相場は?
引用:https://shimuranoiro.com/profile/
志村ふくみによる作品の販売価格
志村ふくみの作品は女優や有名人などにもファンが多く、染織作家の中でも特に有名であり人気があります。
そのため、市場に出たとしてもすぐに買い手が見つかってしまい、なかなかお目にかかることが少ないでしょう。
その販売価格は、新品の振袖や訪問着なら100万〜250万円以上、紬絵羽だと500万円以上になる場合が多いと言います。
着用していない新古品でも同じくニーズは高いため、販売価格は下がることがなく、300万円以上の価格になるでしょう。
志村ふくみの着物は長く手元に置いておきたいというファンが多いことから、中古品でも手放す人が少ない大変価値のある作品です。
志村ふくみによる作品の買取相場
買取市場でも高い人気を誇る志村ふくみの作品は、
~15万円前後の買取価格になるケースがほとんどですが、状態によってその価格は大きく変動します。
志村ふくみの作品は元々希少価値が高いため、平均的な買取価格より高くなる場合も少なくありません。
また志村ふくみの作品は、着用の目的ではなく芸術品や美術品として鑑賞するために購入するというニーズもあるため、古い品や傷があるものでも査定に出してみる価値はあるでしょう。
志村ふくみの作品を高価買取するポイント
状態がよいか
中古の着物の買取は、保管状態が価格に大きく影響します。
・シミがある
・カビが生えている
・締め跡がある
・色褪せしている
という状態の着物は、査定金額が下がってしまいます。
特に絹糸で作られた紬織物はカビが生えやすいので、普段から正しく保管収納をしておくことが大切です。
保管時のポイントをご紹介するので参考にしてみてください。
綺麗に畳んでしまう
着物や帯を保管する際は、シワにならないように正しく畳みましょう。
折り目に合わせて、長方形になるように畳みます。
湿気に注意
着物にとって湿気は大敵です。
吸湿性が高い「たとう紙」で1枚ずつ包みましょう。
収納するのは桐製のタンスや箱が最適です。
除湿剤や防虫剤を使用
防虫剤の中には、他のものと一緒に使うと化学変化を起こしてしまうものがあります。
そのため、着物を収納する場所には着物専用の防虫剤を選ぶとよいでしょう。
除湿剤は防虫剤と一緒に使っても問題ありませんが、水分が溜まった除湿剤をそのまま放置してしまうと、カビが発生する可能性が高まるので要注意です。
定期的にチェックをして、古い除湿剤や防虫剤は新しいものと交換をしましょう。
定期的に虫干し・陰干しをする
着物を収納ケースやタンスの中に入れっぱなしにすると、どうしても湿気が溜まったり虫がついたりしてしまいます。
梅雨明けの時期や秋晴れの頃、また空気が乾燥している冬などには着物を陰干しして湿気や虫を取りましょう。
なるべく付属品も一緒に
志村ふくみの作品には落款(らっかん)や証紙がありません。
そのため、着物を包むたとう紙などで本物であることが証明できれば高額査定される可能性が高まります。
また、着物以外に志村ふくみの帯もある場合や複数枚の着物がある場合には、なるべく一緒に査定に出しましょう。
同時に査定に出す方が、高値が付きやすくなります。
着物買取専門店で査定
志村ふくみの着物はとても貴重なものであり、大量に出回っているものではありません。
あまり着物に詳しくないリサイクルショップや古着屋などに買取を依頼してしまうと、その価値が理解されず査定金額が低くなってしまうこともあるので注意しましょう。
価値が高い志村ふくみの着物を査定に出すなら、着物の専門知識を持つ査定士が在籍して買取業者に依頼することをおすすめします。
まとめ
引用:https://shimuranoiro.com/concept/
志村ふくみの着物は、着物愛好家や専門家から高い評価を得ています。
自然の草木から抽出した色とは思えないような鮮やかな色とツヤ、奥行きを感じる紬織りは、着物好きを夢中にさせます。
庶民の普段着だった紬を、伝統品や芸術品にまで進化させた志村ふくみの作品は、手元に置きたいと考える人が多い人気の着物です。
非常に価値が高いため、汚れて買取が難しそうなものでも値段が付くこともあります。
買取を検討している志村ふくみの作品があるという場合は、お気軽に買取専門店「ウリエル」にご相談ください。
2つの買取方法