着物買取2021年11月03日

着物や帯のカビの落とし方!応急処置やクリーニング方法と原因や注意点、予防法も紹介します

大切にしまっておいた着物や帯にカビが発生して困っていませんか?

知っておきたいカビの落とし方や応急処置の方法、クリーニングについて見ていきましょう。

また、カビが生えてしまった着物の買取について、買取専門店のウリエルが詳しく解説します。

カビが生える原因やその予防法など、タンスに眠っている着物や帯を美しく保つために役立つ情報もお届けするので、最後までご覧ください。

帯にカビが発生する原因

帯

そもそもどうして帯にカビが発生したのでしょうか。

まずは原因から紹介していきましょう。

帯芯からのカビ

帯は締めやすくしたり見た目をよくしたりするために、表面の生地の中に「帯芯」と呼ばれる生地が入っています。

帯芯は帯の生地に縫い付けられた状態なので、この帯芯にカビが生えてしまっていても外からは見えません。

そのため、見た感じカビは生えていないのにカビのような臭いがする、という場合、帯芯にカビが生えている可能性があります。

特に厚手の帯芯の場合、締めた際に湿気がこもりやすく、陰干しをしてもしっかり乾燥させることは難しいでしょう。

乾燥が甘いと湿気が残りやすいので、帯に中にカビが発生してしまうのです。

表地や裏地のカビ

帯の表地や裏地に目に見えてわかるカビが発生している場合、帯芯に発生したカビが表や裏にまで広がっているケースが少なくありません。

なぜなら、目で見えるところに発生しているカビは発生したばかりの白カビではなく、すでに段階が進んでしまった黄色黒のカビである場合が多いのです。

帯のカビをクリーニングで落とす場合の工程

リボン結びの帯

帯にカビを発見してしまうと、焦って水で洗ったり日光に当てて干したりしてしまいがちです。

しかし、それは帯に繁殖したカビの取り方としてはよくないとご存じでしょうか。

帯にカビを発見したら、早めにクリーニングに出してお手入れをしてもらうことが大切です。

帯芯の交換

帯の表面にカビが発生している場合や、陰干しをしてもカビの臭いが取れない場合は、帯芯にカビが発生している可能性があります。

帯芯は帯の生地に縫い付けられているので、それを外して分解して洗い出しをするか、必要があれば交換しましょう。

帯芯を交換する場合の費用は、3,000~1万円程度が目安です。

裏地のシミ抜き、交換

裏地に発生したシミは、変色なのかカビなのかによっても落とし方が異なります。

少しのシミであればシミ抜きを行いますが、カビが進んでいるようであれば帯を分解して帯芯を交換したほうが綺麗になり、費用も抑えられる場合があります。

表地のシミ取り

帯芯のカビが進行して表地にカビが発生しているケースや、長い間保管している間に表面にカビが生えてしまった場合などは、専用の溶剤を使用して洗い、乾燥して仕上げます。

カビ取りをした後にシミが残ってしまった場合には、シミ抜きや染色をして綺麗な状態に戻しましょう。

着物にカビが発生する原因

着物の生地

カビが生える条件には「栄養」「水分」「温度」そして「酸素」が挙げられます。

・湿度が60%以上
・温度が5~35度
・タンパク質がある
・酸素がある

日本の気温や湿度はちょうどカビが繁殖しやすい温度と湿度のため、もともとカビにとって暮らしやすい環境と言えます。

さらに着物の場合は、素材の絹の成分の多くがタンパク質であることから、保管している間にカビが発生しやすいのです。

また、着物に絵柄を染色するときに使う「地糊(じのり)」が湿気を吸いやすい性質をもっていることも、着物にカビが生える原因の一つになっています。

着物に繁殖するカビは臭いや色で進行度がわかる!

淡い色の着物

続いては、発生したカビがどの程度の進行度か見分けるポイントをご紹介します。

レベル1:カビ臭い、白カビ

着物に白い点々が見えたら、それは白カビです。

また、着物の色柄によっては白カビが見えづらい場合もあり、カビは見えないけれどカビ臭いということもあるでしょう。

この場合は、まだカビが発生して長い時間は経っていないので、落とすことが可能です。

一般的な着物クリーニングで、丸洗いをしてもらえば綺麗になります。

クリーニングの費用は10,000円前後になる場合が多いです。

レベル2:黄カビ

白カビをそのまま放置して数年経ってしまうと、カビは黄色っぽい色に変化します。

黄カビは白カビよりも頑固なので、洗い落とすのも簡単ではありません。

着物を1度ほどいて反物の状態に戻してから水洗いをし、カビや汚れ、糊を落としましょう。

場合によってはシミ抜きを行い、再び布のりを引いて綺麗な状態にするのです。

反物の状態に戻して洗い仕上げるだけであれば2万円程度が目安で、反物の状態から再び着物に仕立てるとなると、10万円程度かかります。

レベル3:黒カビ(こげ茶カビ)

カビは発生して10年以上経つと、茶色や黒っぽい色に変わっていきます。

ここまでくるとカビを落とすのは難しく、綺麗な元の状態に戻すことができない可能性が高いでしょう。

どうしてもカビを取って着たいという場合には、着物を専門とするクリーニング店に相談してみることをおすすめします。

ただし、カビが黒カビやこげ茶カビにまでなっている着物は、生地がすでに傷んでいる場合も少なくありません。

カビ取りやシミ抜きをすることで、生地に負担がかかり、破れたり裂けたりする可能性もあります。

着物にカビが発生した場合の応急処置

衣紋掛けにかけた着物

着物にカビが発生してしまった場合の応急処置もご紹介します。

カビの臭いは風に当てるか茶葉で消臭

カビの臭いを消臭するには、風に当てる方法か茶葉による消臭方法を試してみましょう。

風に当てる

着物に付いたカビの臭いの取り方は、風を当てて湿気を飛ばす方法が役に立ちます。

直射日光が当たらない場所に4〜5時間ほど干すのを1か月程度繰り返しましょう。

干すのは屋外でも室内でも大丈夫です。

雨の日など湿度が高いときであれば、さらに扇風機を使って風を送ると効果が高まります。

茶葉で消臭する

消臭や抗菌効果のある茶葉は、カビの臭い取りにも役立ちます。

1.緑茶をフライパンで乾煎り(からいり)をする
2.茶葉が茶色っぽくなれば乾煎り完了
3.冷ました茶葉を半紙や和紙で包む
4.3の紙を畳んである着物の間に挟む
5.数日間そのままにしてから取り出す

茶葉を使う際は、着物に茶葉が付かないように気を付けましょう。

白カビは布で応急処置

ちょっとした白カビに気付いたときに、自分でできる応急処置としておすすめなのが布を使って払う方法です。

用意するものは、乾いた布とマスク、手袋です。

1.マスクと手袋を着用する
2.白カビが生えている部分を布で優しく払う (カビの胞子が飛ぶので、できれば屋外で行う)
3.カビが落ちたら、室内の風通しのよい場所で干しておく

屋外でカビを払う場所がないときや雨が降っているときは、窓を開けて通気性をよくした室内で行います。

その場合はカビの胞子が家具などに付着しないように、ビニールシートや新聞紙などで養生してから行いましょう。

また、使用した布やマスク、手袋にはカビの胞子が付いているので、すぐに処分してください。

応急処置を行う場合の注意点

手でバツを作る女性

大事な着物や帯にカビが生えていたら焦って対処してしまいがちですが、以下の点には必ず注意しましょう。

濡れタオルで拭かない

白カビに気付いたときにうっかりやってしまいがちな落とし方が、濡れタオルで拭くという応急処置です。

これは、濡れタオルの水分によってさらにカビが増えてしまう危険性があるため、行なってはいけません。

また、濡れタオルで擦って着物を傷めてしまう可能性もあるので、濡れタオルで拭くのは必ず避けてください。

消臭スプレーをかけない

カビは見えないけれどカビ臭いという場合、臭いを取るために消臭スプレーを使うのはやめましょう。

消臭スプレーの原料はほとんどがです。

水洗いができない着物に使ってしまうと、シミになってしまうかもしれません。

アルコールは使用しない

カビが生えるのを避けたいからといって、アルコール消毒スプレーなどを使うのは着物の場合避けてください。

着物の多くは絹を使っていますが、繊細な絹にとってアルコールは刺激が強く、カビ以外のトラブルにつながってしまいます。

色が抜けてしまうことや、シミのようになることもあるので気を付けましょう。

スチームアイロンは使用しない

熱と蒸気を使うスチームアイロンには、衣類やインテリアファブリックの臭いを取るという使い方もありますが、着物に使うのはおすすめできません。

着物の扱いに慣れていない人がスチームアイロンを当ててしまうと、生地が縮むなど思わぬ失敗をしてしまうことがあるのです。

また、蒸気を当てることで、余計にカビが繁殖することもあります。

温度湿度はカビの繁殖を助長する原因になりかねないので、カビの応急処置には使わないようにしましょう。

着用後は本格的な振袖・着物のカビ取りを行う

保管してある着物にカビを発見したときに応急処置をすると、一見カビはなくなったように見えるかもしれません。

しかし、カビの胞子が広がっている可能性や、見えない部分にカビが残っている可能性は高いので、着用後は早めに振袖や着物のカビ取りを行なっている専門店に持っていきましょう。

カビは初期のうちに対応しておかないと、どんどん広がってしまい、他の着物にもカビがうつってしまいます。

長く綺麗な状態を保つために、プロに依頼をして、正しくカビ取りをしてもらいましょう。

応急処置ができない場合もある

カビの応急処置ができるのはカビが生えたばかりの、白カビの状態に関してのみです。

・青っぽい斑点や緑色の斑点(青カビ)がある
・黒っぽい斑点(黒カビ)がある
・茶色やオレンジ色の斑点(カビによる変色)がある
・着物の地色や柄など広い部分が変色している
・帯がカビ臭い

などという場合には、自分では対処ができないので、早めに着物のクリーニングを専門とするお店に依頼しましょう。

カビを発生させないための予防法

着ていない着物

着物や帯は着用後に陰干しする

着用した着物には、カビが大好きな湿気がたくさん含まれています。

空気中の湿気や汗を含んだままにしておくとカビが発生してしまうので、収納する前に必ず陰干しをして湿気を飛ばしておきましょう。

特に汗をたくさんかいたときには、クリーニング店で「汗抜き」をしてもらうのがおすすめです。

汗の水分だけでなく、皮脂やミネラルを取り除いてくれるので、着物のカビや変色を防ぐことができます。

たとう紙に包んで保管する

着物を包むときに使うたとう紙は和紙でできていて、空気中に含まれる湿気を吸って着物に湿気が付くのを防ぐ役割をもっています。

そのため、たとう紙が黄色く変色し始めたら交換のサインです。

古くなったたとう紙を使い続けていると、湿気を吸ってくれないだけでなくたとう紙の汚れが着物に付いてしまうこともあるので、定期的に交換するようにしましょう。

交換の目安は2年前後です。

除湿剤やすのこを使用する

着物をタンスや押し入れの中に入れっぱなしにしていると、どうしても湿気が溜まってしまいます。

湿気が溜まりにくい桐たんすを使ったりタンスの上部に収納したりといった工夫が必要です。

さらに湿気を防ぐためには、除湿剤やすのこを活用するのがおすすめです。

その他、着物を収納しているタンスが置いてある部屋自体の除湿も行いましょう。

年に数回は虫干しをする

着物は収納したままにしておくと、湿気を含んだり虫が付いたりしてしまいます。

そのため、時々広げて湿気を飛ばす虫干しを行うとよいでしょう。

・梅雨明けに行い着物を乾燥させる
・初秋に行い夏に付いた虫を払う
・湿度の低い2月頃に行う

など、基本的に湿度が低く晴れた日に行うのが虫干しです。

直射日光が当たらない部屋で風通しをよくし、着物用ハンガーにかけて着物を干します。

夕方には湿度が上がってくるので、午前中~午後3時くらいまでの間に行うのがベストです。

こまめに換気する

着物を広げて虫干しをする時間がないという場合には、着物を収納しているタンスや収納ケースを開けて風を通すだけでもカビを防ぐ効果が期待できます。

晴れが続いているタイミングでタンスを開けて、さらに扇風機を使って風を送ると着物の湿気を飛ばすことができます。

普段から着用する

カビは長期間保管している間に発生してしまうものです。

つまり、普段から日常的に着物を着用していれば、カビが生えるほど湿気が溜まることもなく、万が一何かあってもすぐに気付けて対処できるため、カビが増殖することもないのです。

大事にしまっておく間に着物が傷んでしまってはもったいないので、着る機会を増やして活躍させていきましょう。

着物のカビをクリーニングでの落とし方

カビが生えた喪服

クリーニング店によって違う場合もありますが、一般的な着物のクリーニングでのカビ取りの工程をご紹介します。

1状態確認カビの状態や、生地や染めの状態を確認します。 どのような処置をするのが最適か、カビ取りをして別のトラブルが発生しないかを見極めます。
2カビ取り着物専用の溶剤を使いカビ取りを行います。 生地を傷めないように丁寧に、手作業で行われます。
3乾燥カビ取りをした部分を乾かします。
4ドライクリーニング着物全体を洗い、汚れを落とします。
5再乾燥形を整えて、着物をしっかり乾燥させることで、カビの再発を防ぎます。
6確認カビが綺麗に落ちているか、着物が変色しているところはないかなどを確認します。
7色補正カビによって色抜けや退色がある部分を補正します。
8プレス手作業でプレスしていきます。
9たとう紙に包む丁寧に畳み、新しいたとう紙に包みます。

着物にシミが付いている場合には、さらにカビ取りに加えてシミ抜きの工程が加わります。

着物のカビ取りクリーニングの注意点

着物女性の後ろ姿

「着物丸洗い」ではカビは取れない

着物クリーニングに出す際のメニューの一つに「着物丸洗い」というものがあります。

これはドライクリーニングなので、油性の汚れ(皮脂、ほこり、排出ガスなど)は落ちますが、水性の汚れ(汗、雨など)は落とせません。

またカビの菌も落ちないので、カビ取りやシミ抜きといった別作業が必要になるのです。

重度のカビは「染色補正」が必要

カビが広い部分に繁殖している場合や、カビが生えて時間が経っていると、着物の色が抜けてしまっていることがあります。

そうなると、色を整える染色補正が必要です。

職人によって手作業で行われるため、カビや着物の状態によってカビ取りクリーニングにかかる時間費用が変わってきます。

カビの生えた着物は買取に出せる?

悩む着物姿の女性

カビが生えてしまった着物も買取に出せる可能性はあります。

その理由は、「カビが生えた着物でも買い取る価値がある」というケースもあるためです。

・クリーニングすればカビが取れると判断した場合
・生地の一部をリメイクすることで販売できる場合
・着物自体の価値が高い場合

とはいえ、基本的には価値が下がり買い取れないケースがほとんどなので注意が必要です。

また、カビが生えた着物を買取に出す際には、着物の価値がわかる買取業者に依頼することが大切です。

着物に詳しくないリサイクルショップなどでは、カビがあるというだけで低い金額を付けられたり買取を拒否されたりすることもあるでしょう。

着物の買取を積極的に行なっていて、着物の市場価値や相場について詳しい業者であれば、着物を正しく査定し金額を付けてもらえます。

まとめ

神社を歩く女性

帯や着物に生えてしまったカビは、応急処置や早めのクリーニングで綺麗になることもあります。

そして日頃からカビが生えないように予防をすることも大切です。

大切な着物がカビだらけになってしまわないように、正しく保管し長く活躍させたいですね。 次に手にする人にもたくさん着てもらえるように、カビを見つけたら早めに落としましょう。

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