着物買取2021年11月03日

「江戸小紋」はどんな着物?文様の種類や選び方、着用シーンを解説!買取価格相場も

江戸小紋は通常の小紋よりも柄が細かく、1色のみの型染めで染め上げられている着物です。

以下では、さまざまな場面で使用ができる江戸小紋の特徴や歴氏、買取相場などについて紹介します。

記事の後半では、高く売るポイントについても紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。

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そもそも小紋とは

小紋を着用する女性

小紋とは、型紙を用いた型染めの技法によって染められる着物で、着物全体に細かい模様が入っているのが特徴的です。

小紋には、柄と柄の間を広くとった飛び柄小紋や、柄が連なっている総柄小紋などがあります。

華やかな模様や古典文様の小紋は、カジュアルなパーティーへの出席、観劇、食事会、大寄せのお茶席などで着用でき、普段着としての小紋は、普段の稽古事や親しい友人との集まり、街歩きなどで着用できます。

小紋についてはこちらの記事下部にもコラムが掲載されているのでご覧ください。

小紋買取

江戸小紋とは

江戸小紋の柄

引用:https://www.kimonoichiba.com/media/column/71/

江戸小紋は主に神田川周辺や新宿区早稲田、落合周辺で作られています。

江戸小紋とは、遠くから見ると無地に見えるほどの非常に小さな柄を、1色のみの型染めで染め上げた小紋のことです。

普通の小紋との違いは、柄の細かさと一色染めであること、青海波のような単一の模様であることです。

また、紋や格式の高い柄ものを選べば、色無地や訪問着と同格の準礼装としても着用できます。

江戸小紋の歴史

江戸小紋2

引用:https://aoki-aoki.shop-pro.jp/?mode=grp&gid=1047685&sort=n

江戸小紋は、もともと武士の礼装である裃(かみしも)として利用されていました。

そして江戸時代中期以降には、身分や性別などを超えて一般的の人々にも使用されるように変化します。

1955年(昭和30年)、江戸小紋の作り手としては初となる、重要無形文化財保持者(人間国宝)に小宮康助(こみやこうすけ)が選出されました。

江戸小紋は、現代でも新しいデザインが生み出されており、現在では数百種類の江戸小紋が存在すると言われています。

江戸小紋の柄

江戸小紋には数多くの柄が存在します。

以下では、江戸小紋の代表的な柄を紹介します。

小紋三役・五役

小紋三役・五役とは、かつて江戸時代に各藩が使用していた柄の総称のことです。

定め小紋は藩が定めた江戸小紋の中でも格の高い柄で、特に小紋三役と呼ばれる柄は格別です。

小紋三役

鮫小紋

小紋三役は、格の高い柄である定め小紋から選ばれた行儀、通し、鮫の3つの柄です。

行儀は江戸小紋の定番の柄で、小さな点が斜め45度に行儀よく並んでいるのが特徴的です。

45度は丁寧なお辞儀の角度であることから、行儀には「礼を尽くす」という意味も含まれています。

細かい柄のものはフォーマルな場面に、大きめの柄のものはカジュアルな場面に着用されることがほとんどです。

角通し細かい正方形が並んだ模様で、「筋を通す」という武士道の精神が表現されているほか、着物の色によってスタイリッシュな印象や可愛らしい印象を与えます。

鮫肌模様を表現した柄で、遠くから見ると光沢があるように見えるのが特徴的です。

鮫には魔除けや厄除けの意味が込められています。

主に入学式やお宮参りなどの華やかなシーンで着用されます。

小紋五役

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引用:https://www.someichie.jp/hpgen/HPB/entries/84.html

小紋五役とは、行儀、風通し、鮫の3つの柄に加えて、大小霰(あられ)、万筋(まんすじ)と呼ばれる柄を合わせたものです。

大小霰は空から舞い落ちた霰が地面に飛び散っているような柄で、「空から降る霰のような勢いがつくように」という意味が込められています。

大小霰は着物の色によって独特な印象や可愛らしい印象があるのが特徴です。

万筋は非常に細かい縦縞模様で、「まっすぐ筋を通す」という意味があります。

非常に繊細な制作過程を経た万筋は、上品な印象を与えます。

花柄

江戸小紋花柄

引用:https://www.someichie.jp/SHOP/order2508.html

江戸小紋には、桜や菊、梅などの花柄の着物が存在します。

桜は春の初めに咲くことから、春の豊かさや繁栄を願うときに着用されることが多い着物の柄です。

菊は皇室のご紋章として利用されたり、中国では長寿のために使われたりした柄のため、伝統を大切にしたい方におすすめです。

梅は、冬の厳しい寒さを乗り越えて開花する花のため、苦難を乗り越えて開花する喜びの象徴とされています。

梅の柄は、主に結婚式や披露宴などのおめでたい場で着用されます。

牡丹

牡丹は、中国で富や幸せの象徴とされる「百花の王」と言われる絢爛豪華な花です。

春の牡丹は4~5月頃に咲くので、春の時期に着用するのがおすすめです。

竹や笹

笹 竹

引用:https://someichie.com/news/%E7%AB%B9

竹や笹は、節と節との間に不思議な霊力が宿ると昔から言い伝えられており、地鎮祭などのお祓いや、茶室まわりなどに使用されています。

竹や笹は、すっきりとした爽やかな印象を与える柄です。

いわれ小紋

いわれ小紋は、生活用品や野菜、動物、自然、吉祥模様などあらゆる事物がモチーフの素材として使用されている柄です。

小さな点の連なりから生み出される柄には、主に子孫繁栄や無病息災など、さまざまな願いごとや判じ物が隠されています。

いわれ小紋は礼服としてではなく、普段着として着用されています。

地落ち

地落ち

引用:https://www.someichie.jp/hpgen/HPB/entries/90.html

地落ちは、遠目だと無地のように見える非常に細かい文様です。

地落ちの型紙は、柄の輪郭線を残してその周囲を点々で埋め尽くして彫るため、染色すると輪郭線の部分に色が入り、柄の輪郭が浮かび上がります。

彫り師と染め師の巧みな技術によって繊細な文様が作られていきます。

地型

地型、地色が柄を描き出している文様です。

地型は、本来「地」になる部分が彫って作られており、染色すると彫り残した柄が浮き上がります。

フランス縞

フランス縞

引用:https://www.someichie.jp/hpgen/HPB/entries/101.html

フランス縞は、緩やかな曲線が特徴的な文様です。

江戸小紋の鮫よりも格は下がりますが、フォーマルな場面でも着用できます。

寄せ小紋

寄せ小紋

引用:https://www.someichie.jp/hpgen/HPB/entries/104.html

寄せ小紋は、さまざまな柄が敷き詰められた文様です。

柄によって濃淡が異なり、華やかな印象を与えます。

江戸小紋の制作工程

小紋柄の着物制作工程

江戸小紋は、主に型紙を作る「型彫り師」と生地を染める「染め師」によって作られます。

以下では、江戸小紋の制作工程を紹介します。

型紙を作る「型彫り師」の工程

型彫り師の工程は以下の通りです。

地張り板に染める生地を張る作業
型付け一晩水につけてよく伸ばした型紙を生地の上に置き、防染糊をヘラで塗る
地染め型付けした生地を乾燥させた後、上から染料の入った糊で地を染める
蒸し蒸して染料を発色させる
水もと水で洗い流す
湯のし水洗いした生地をよく干して、蒸気でシワを伸ばす
地直しムラのある部分を筆とはけで修正する

このような細かい工程を経た後、染め師によって染色が行われます。

染色する「染め師」工程

染め師の工程は以下の通りです。

型紙を彫る図案の模様を専用の道具で彫っていく
色糊の調整もちごめ粉と米ぬかを混ぜて蒸してから、染料を入れて色合いを調整していく
型付け染料の入った糊をヘラで塗り、生地の地色を染めていく
蒸し生地を15~30分間蒸し、糊の中に入っている染料を生地に定着させる
水洗い生地を水洗いし、余計な染料や糊を落とす
型付け生地を張って乾燥させ、湯のしを行い幅を整える

染め師の工程の中でも、色糊の調整は仕上がりの状態を左右するため、非常に重要な作業です。

江戸小紋のTPO

さまざまな江戸小紋

TPOに合った江戸小紋の柄や色などを選びます。

フォーマルなシーン

フォーマルなシーンで着用できる江戸小紋の柄は、小紋三役・五役です。

結婚式、祝賀会などのフォーマルなパーティー

結婚式、祝賀会などのフォーマルなパーティーでは、以下のような江戸小紋の着用がおすすめです。

小紋三役・五役
くすみがかった赤色や青みがかったグレー
一つ紋
金糸で縫った格式の高いもの

子どもの卒入学式、お宮参り

子どもの卒入学式、お宮参りでは、以下のような江戸小紋の着用がおすすめです。

小紋三役・五役
パステルカラー
一つ紋
品のあるデザインの袋帯や綴(つづり)の名古屋帯

弔事

弔事には、以下のような江戸小紋の着用がおすすめです。

小紋三役
炭黒や濃い紫
一つ紋
喪服用の黒供帯、故人を偲(しの)ぶ会にはシルバーグレーの帯

カジュアルなシーン

カジュアルなシーンはフォーマルなシーンに比べて決まりが少ないので、比較的自由に着用できます。

お茶会、観劇

お茶会、観劇の際には以下のような江戸小紋の着物がおすすめです。

寄せ小紋や地落ちなどが人気
なし
名古屋帯やしゃれ袋帯

少々かしこまった場で行われる同窓会や集まりにも、上記のような着物がおすすめです。

落ち着いた柄のものを選ぶと上品に見えます。

案内や接待

案内や接待の際には以下のような江戸小紋の着物がおすすめです。

小紋五役、花柄
なし
花鳥風月を題材とした袋帯や名古屋帯

江戸小紋の選び方と注意点

江戸小紋選び方

江戸小紋は柄や種類が豊富なため、選び方に迷うことも多いでしょう。

以下では、江戸小紋の選び方と注意点を紹介します。

江戸小紋の柄は細かいほど格が上がる

柄の細かい江戸小紋ほど職人の高度な技術が必要です。

近年、細かい柄を染められる腕の職人が少なくなってきていると言われているため、柄の細かい江戸小紋希少価値が高く、格も高くなっています。

特に細縞模様はあまり流通していない希少価値の高い柄です。

手染めのものを選ぶ

江戸小紋は、機械によるローラー捺染(なっせん)と、人の手による型紙染めの2種類があります。

手で彫られた型紙を使って染められたものは、どんな熟練の技をもつ職人でも多少のムラが存在するので、人の手による型紙染めのほうが温かみや独特の風合いを感じられます。

裾まわしにこだわってみる

江戸小紋は単色であるため、着物と同じ色を合わせると地味になる場合があります。

そのため、裾まわしは染め色よりも少し明るめの色を組み合わせてみましょう。

値段は制作工程や素材で大きく異なる

江戸小紋の値段は、機械か職人の手で作られた型や使用されている素材で大きく異なります。

機械で制作された江戸小紋は、10万円以下で購入が可能です。

機械で描かれた柄はプリントで、職人の手で作られたものとは違い、ムラが一切ありません。

着用したときに立体感がなく、顔が暗く映るというデメリットがありますが、ポリエステルなどの化学繊維の生地を選べば、洗濯機で洗えるので管理が非常に楽です。

一方、職人によって手作りされた江戸小紋は、機械よりも多くの工程を踏むため20万円以上の値が付きます。

江戸小紋の制作工程で付く多少のムラが立体感を出し、着用したときの動きや光の加減が着用者の顔を明るく映します。

また、着物の素材にはポリエステルや絹(シルク)が使用されますが、絹のほうが生産量も限られており、希少価値が高いため高額になりやすいです。

ポリエステルよりも絹のほうが色もきれいに入るため、着用した際の見た目も大きく異なります。

新作柄を選ぶときは注意が必要

新作柄を選ぶ際は、プリントであっても高価で販売されている場合があるため、注意が必要です。

特に着物のプロデューサーとコラボした新作柄は、高価な値段で販売されている場合があります。

着物をよく知るプロが監修している着物なので着物のデザインはすてきですが、本物の江戸小紋の着物を着用したい方にはあまりおすすめできません。

江戸小紋の買取相場

江戸小紋 買取

江戸小紋の一般的な買取相場は、購入した金額の10分の1程度です。

しかし、保存状態がよかったり証紙があったりする場合には、8分の1程度まで値上がりします。

また、有名作家の作品人間国宝の型紙彫刻師の着物、状態がよい着物であれば10万円程度の値が付きます。

江戸小紋の種類・状態買取相場
ポリエステル素材や汚れが目立つ小紋〜2,000円
ノーブランドの一般的な小紋       〜5,000円
江戸小紋や有名作家の小紋          〜50,000円

※相場は目安であり、買取価格をお約束するものではございません。

上記は着物だけの売却額なので、小物を一緒に査定に出すと買取価格がアップします。

買取価格を上げるポイント

買取

自宅に眠っている江戸小紋をなんとなく査定に出しても高い値は付きません。

江戸小紋の買取価格を上げるには、いくつかのポイントがあります。

他の着物や証紙も一緒に出す

他の着物や証紙を一緒に査定に出すと、買取価格がアップします。

証紙は、江戸小紋を購入した際に付いてくる証明書です。

証紙には着物の素材や産地、染め方、織り方などが記載されており、査定を付ける際の判断材料として役に立ちます。

特に有名作家の作品の場合は、本物である証明にもなるため、証紙は着物と一緒に保管し、なくさないようにしましょう。

また、不要の着物が複数ある場合、まとめて査定に出すと業者の経費や手間を減らせるため、その分買取価格が上がる可能性があります。

着物の状態は良好か

できるだけ新品に近い状態の着物は、高価買取がされやすい傾向にあります。

着物は湿気に弱く、手入れをせずに長年タンスにしまっていると、シミ・シワ・カビ・ホコリが発生し、買取価格に影響が出てしてしまう可能性があるので注意が必要です。

江戸小紋に限らず着物の購入者は、外出用として着物を購入するので、シミやシワなどがある着物は買い手が見つかりづらい傾向にあります。

着物をきれいに保管するためには、定期的に陰干しをして風通しをよくしておきましょう。

タンスにしまう際には、通気性のよいたとう紙に包むとカビの発生を防げます。

たとう紙に包んで保管をする場合には、着物にシワが付かないように正しいたたみ方できれいにたたみましょう。

万が一着物に汚れがある場合、簡単に落とせそうな汚れはやわらかい布などで傷付けないように優しく拭き取ってから査定に出すのがおすすめです。

クリーニングに出さないと落ちないような汚れは、それ以上触ると傷付ける可能性があるため、あまり触らずに早めに査定に出すほうがよいでしょう。

大きめの着丈か、人気の柄か

大きめの着丈や人気の柄のものは、高価買取が期待できます。

小さめの着丈の場合、小柄な人しか着ることができませんが、大きめの着丈は購入者のサイズに合わせて仕立て直すことができるので、需要があります。

江戸小紋の人気の柄は、格が高い行儀、角通し、鮫、大小霰、縞などです。

小紋三役・五役は比較的高価買取が期待できる傾向にあります。

極鮫や極行儀のように頭にの文字が付くものは、高度な技術を必要とする細かくて繊細な柄であるため、買取価格が上がります。

着物買取専門店で売る

着物の売却方法は、リサイクルショップやフリマアプリなどさまざまですが、着物は着物の買取専門店で売るのがおすすめです。

リサイクルショップでは、着物の専門家が在籍していないことが多く、江戸小紋の価値を見極めきれずに安く買い取られてしまう場合があります。

また、フリマアプリでは、着物の詳細を自分で説明する必要があるので、着物の知識がないと難しいでしょう。

着物の買取専門店であれば、柄の種類や細かさなどの微妙な違いをしっかりと見極めることが可能です。

そのため、着物の知識が豊富な着物の買取専門店に任せたほうがよいでしょう。

まとめ

着物を着て座る女性

江戸小紋とは、細かい柄を1色のみの型染めで染め上げた着物です。

江戸小紋を高い額で売却するポイントは、着物の状態をきれいに保ち、証紙を添えて着物の買取専門店に査定を依頼することです。

江戸小紋の着物をお持ちの場合は、経験豊富な査定士が在籍する買取専門店「ウリエル」へお任せください。

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