高級振袖の見分け方は?価格相場や高級振袖ブランド5社も解説
成人式を控える女性のなかには、高級振袖と呼ばれる高品質な振袖を探されている方もいるのではないでしょうか。
「一生に一度の成人式だから、安っぽく見えない振袖を選びたい」と考える方も多いと思います。
振袖の価格は幅広く、振袖の生地や縫い方などによって価格は異なります。
この記事では、高級振袖の見分け方について紹介するとともに、価格ごとの振袖の価値について解説しています。
高級振袖ブランドもあわせて紹介しているので、こだわりのある振袖を探したい方はぜひ参考にしてみてください。
高級な振袖の見分け方
高級振袖を見分けるためには以下の5つのポイントがあります。
- ・生地
- ・縫い方
- ・染め方
- ・装飾
- ・証紙
高級振袖の特徴を理解して、高い振袖と安い振袖を見分ける参考にしてください。
生地
振袖で使用される生地は、大きく分けると「絹」と「ポリエステル」の2つです。
最近では技術の進歩によって、一見しただけでは絹と見分けがつかない振袖も増えてきています。
また、「木綿」や「麻」を生地として使用した振袖もあります。
どちらも肌触りが良く、風通しの良い生地であるため夏に着られる振袖の素材としてよく使われます。
ここでは、高い振袖の特徴と見分け方について注意点と一緒に紹介していきます。
高い振袖の生地
価格が高い振袖は、純粋に絹だけで作られた正絹の振袖で、鮮やかな色味と見た目のつややかさ、繊維の細やかさによるなめらかな肌触りが特徴です。
ただ、絹を使用した振袖であっても、「使われている糸の量が多いかどうか」や「使われているのは国産の絹か外国産の絹なのか」によっても値段が異なるため、注意が必要です。
使用している糸の量については、多くの場合、手に持ったときの重さで見分けられます。
価格の安い振袖は使用している糸の量が少ないため、薄く軽い仕上がりです。
振袖を手にしたときに厚みがあり、ずっしりとした重さを感じたら高級な振袖の可能性が高いと言えるでしょう。
現在、国産の絹は生産量が少なくとても希少なものであるため、輸入した外国産の絹を使用することが多くなってきています。
外国産の絹は国産の絹に比べると重いため、手に持った感覚だけでは判断が難しいです。
国産の絹かどうかについては、「純国産絹マーク」があるかどうかで判断できることもありますが、見た目だけで判断するのは難しいので、専門家に聞くことをおすすめします。
安い振袖の生地
絹と並んで振袖によく使用される生地が、化学繊維のポリエステルです。
シワになりづらく、自宅の洗濯機で洗えるという管理のしやすさから多く販売されています。
ポリエステルは、絹と比べて薄くペラペラした印象を受けるものもありますが、最近は技術の進歩によって肌触りも以前より改善され、見た目には絹と見分けがつかないものもあるでしょう。
ポリエステルを100%使用した生地の場合、表示が「シルク」となっていることがあります。
もし販売店や専門家に確認ができる場合は、振袖に使用されている生地が「絹」を使用しているものかどうか、しっかりと確認してもらいましょう。
縫い方
縫い方には「手縫い」と「ミシン縫い」があり、手間がかかる分、職人による「手縫い」のほうが価格も高くなります。
「手縫い」は生地を大切にする縫い方がされており、部分ごとにつながった1本の縫い糸を使用し針を斜めに入れることで、生地に負担がかかる前に糸が切れる工夫がされています。
そのため、生地の痛みが少なく、仕立て直しをしながら長く着ることができるのが特徴です。
「ミシン縫い」は、上下2本の糸を使って大きい針を使って絡ませるように縫っていく方法です。
生地に対して針をまっすぐ入れるため、丈夫な強度のある縫い方ですが、生地にはミシンの針穴が残ってしまうことから、仕立て直しができなくなってしまいます。
安っぽい振袖を避けたい場合は、職人の技術が活かされた「手縫い」を選ぶようにしましょう。
染め方
振袖の染め方としては、大きく分けると「手染め」と機械による「デジタルプリント」の2種類があり、職人の手間がかかる「手染め」のほうが価格は高くなります。
「手染め」としては、染めない部分に型紙を使用して染める「型染」や、筆やはけで模様を手描きで施していく「手描染」が有名です。
また「デジタルプリント」には、「顔料プリント」や「染料プリント」、「転写プリント」などがあります。
顔料プリントは、生地の表側だけに色をつける方法です。
そのため、生地の裏面を見たときにプリントがされていないときは、顔料プリントの可能性が高いと言えます。
染料プリントは、インクジェットプリンターを使用して生地に直接インクを吹き付ける染め方で、デジタルプリントの中では見た目が手染めに最も近くなる方法です。
プリンターの質によっては、模様がぼやけてしまっていたり発色がいまひとつだったりする場合もあります。
転写プリントは、転写紙にプリントした専用インクを熱で気化させ圧着する染め方で、生地がポリエステルの場合しか使用できない方法です。
転写プリントを使用した振袖の場合、アイロンをかけたとき、あて布に色が移ってしまう可能性があるため注意しましょう。
「デジタルプリント」として紹介した3つは、どれも機械による染め方であるため、職人の手間がかかる「手染め」と比較すると価格が安くなることがほとんどです。
装飾
職人の手間がかかるほど価格は高くなるため、刺繍や絞り、金箔など細やかな装飾が施されている場合は振袖の価格も高くなります。
また、刺繍の場合、ミシンで作られた刺繍よりも職人の手縫いによる刺繍のほうが、職人の手間がかかるため価格は上がります。
高い振袖を見分ける際には、細やかな装飾が施されているものを選ぶようにしましょう。
しかし、細やかな部分で違いを感じることができるものの、技術の進歩により、機械による装飾か職人の手作業による装飾なのかを見分けることは難しくなってきています。
もし気になる場合には、専門家やお店の人に確認してみましょう。
証紙
証紙とは、厳格な審査基準に合格した振袖だけが与えられる証です。
有名産地の振袖や伝統工芸品の振袖などの組合が発行し、振袖の品質を保証します。
証紙がある振袖は価値が証明されているため、高級な振袖として認識しても良いでしょう。
証紙のない振袖の価値が低いとは限りませんが、証紙の有無は高級な振袖を見分けるうえでの目安となります。
高級振袖で有名なブランド5社
日本全国には高級振袖で有名なブランドがいくつかあります。
・以下では、とくに高級振袖として有名なブランド5社を紹介します。
- ・滝泰(たきたい)
- ・吉澤織物(よしざわおりもの)
- ・千總(ちそう)
- ・青柳(あおやぎ)
- ・藤娘(ふじむすめ)きぬたや
吉澤織物(よしざわおりもの)
吉澤織物(よしざわおりもの)は、新潟県十日町の振袖ブランドです。
創業は明治30年からであるものの、約270年前から振袖の生産に携わっていました。
織物の産地として歴史の長い十日町のなかで一目置かれるトップブランドで、染めと織りの両方を一貫して生産しています。
技術革新と商品開発だけでなく、品質管理をものづくりを基本としています。
千總(ちそう)
千總(ちそう)は創業1555年で、京都に本社を構える振袖老舗ブランドです。
創業以来450年の歴史を誇り、オリジナルブランドの「CHISO」を展開して、京都の直営店や全国の百貨店、呉服屋で販売されています。千總の振袖は友禅染めと呼ばれる伝統的な染色技法を用いて生産されています。
蚕を育て繭から糸を紡ぎ、生地を折り上げるまでのすべての工程を一貫して担い、振袖の美しさや品質にこだわったものづくりが特徴です。
青柳(あおやぎ)
青柳(あおやぎ)は、新潟県十日町の老舗振袖ブランドです。
友禅をベースに桶絞り(おけしぼり)や櫛引(くしびき)などの伝統技法を用いて作られる振袖は、ふっくらと立体的で豪華な印象です。
独自の技法や一貫生産にこだわってものづくりを行い、高品質で美しい振袖づくりに挑戦し続けています。
藤娘(ふじむすめ)きぬたや
藤娘(ふじむすめ)きぬたやは、愛知県名古屋市の振袖ブランドです。
京都発祥の京絞りをルーツに絞り染めを生み出し、伝統的な技術と職人の手作業による振袖づくりにこだわっています。
藤娘きぬたや振袖は、それまでの絞り染めにはない自由な発想による色づくりや配色で、まるで一枚の絵画のような美しさです。
その美しさは世界にも評価され、ニューヨークでの個展を三度開催するなどして、多くの人を魅了しています。
滝泰(たきたい)
滝泰(たきたい)は、新潟県十日町の有名和服メーカーです。
振袖や訪問着の大手として、東京・京都に営業個展を展開しています。
滝泰の振袖は、独自の「おぼろ染襲(かさ)ね絞り」と呼ばれる技法を用いて作られている点が特徴です。
おぼろ染襲ね絞りの「おぼろ染め」とは友禅技法の一つで、何度も色を重ねることで深みのある独特の色合いを表現しています。
着物フェスで6年連続最高賞の経済産業大臣賞を受賞した経験があり、滝泰の振袖の美しさが評価されています。
振袖の値段の決まり方
振袖の値段はどのような基準で決められているのでしょうか。
- ・生地の代金
- ・生地の加工代金
- ・生地のデザイン料
- ・流通コストと仲介手数料
- ・その他
それぞれ詳しく解説していきます。
生地の代金
振袖の価格の中で割合が1番多いのは生地の代金です。
振袖によく使われる絹とポリエステルですが、どちらが使用されているかによって振袖の代金は大きく異なります。
当然ながら、糸の本数が多く厚い絹を使用した振袖よりも、使用されている糸の本数が少なく薄いポリエステルを使用した振袖のほうが代金は安くなります。
また、同じ絹を使用した振袖だったとしても、使用している絹が正絹なのかどうか、国産か外国産なのかどうかなどによっても代金は異なるので、まずは生地に注目してみましょう。
生地の加工代金
まず、購入もしくはレンタルした振袖に「お仕立て」があるかどうかによって、生地の加工代金が異なります。
「お仕立て」とは、一人ひとりの体型に合わせて採寸から裁断、縫製までを行うことです。
高い振袖の場合にはほとんどの場合「お仕立て」が付き、オーダーメイドとなっていますが、安い振袖の場合にはすでに仕立て終わった振袖を購入またはレンタルすることとなるため「お仕立て」は付きません。
次に、生地に刺繍や絞り、手染めなどの加工があるかどうかによっても代金は異なります。
多くの場合、職人が手間をかけて作った振袖には刺繍や絞り、金箔などの細やかな加工がされていたり生地の染め方が機械ではなく職人の手染めによるものだったりします。
職人の手間がかかっているほど生地の加工代金は高くなるのです。
生地のデザイン料
有名デザイナーや芸能人、モデルなどがプロデュースしている振袖は価格が高い傾向にあります。
また、毎年京都で開催される大規模な展示会の京友禅競技大会などにおいて、賞を受賞した振袖も価格が付きます。
流通コストと仲介手数料
振袖には、製造から販売まで一貫して行なっている会社はありません。
メーカーから製造する会社が注文を受け製造し、各販売店はメーカーから卸業者を仲介して商品を仕入れる流れになっています。
そのため、流通コストや仲介手数料が必ず振袖の値段に含まれます。
1.製造する会社(染元・織元) 2.メーカー 3.総合問屋(一次問屋) 4.地方問屋(二次問屋) 5.販売店(小売店・呉服店) |
その他
芸能人やモデルなどを起用して大々的にメーカーが広告をしている場合には、以下の費用が含まれます。
・広告費(モデル、宣伝 など) ・人件費(着付け、前撮り など) ・管理費(振袖、小物 など) |
振袖の価格が他に比べて安い場合は、有名人を起用せずに広告費を削減したり従業員を少なくすることで人件費を削減したり、削減の努力がされているはずです。
振袖の料金から考える価値
ほとんどの振袖には、価値相当の値段が付けられるでしょう。
そのため、ここでは値段から想定できる振袖の価値を解説します。
- ・10万円以下の振袖
- ・10〜20万円の振袖
- ・20〜45万円の振袖
- ・45〜50万円の振袖
10万円以下の振袖
この価格帯では、主にネット通販レンタルやメルカリなどのオークションサイトでの購入が可能です。
国産以外(中国産など)のポリエステルや品質が期待できない古い絹を使用した振袖であると考えられ、数年前の売れ残り品でデザインが古い可能性もあるでしょう。
10~20万円の振袖
この価格帯であれば店舗でのレンタルが可能となる一方で、有名ブランドの振袖や有名店によるレンタルは20万円以降になります。
10〜20万円の価格帯は振袖レンタルで失敗するリスクが低く、ブランドやデザインにこだわらない方におすすめの価格帯です。
20~45万円の振袖
この価格帯から有名ブランドや有名店でのレンタルができます。
ポリエステルの生地が使われていたり、インクジェットプリンターによって染色加工されたりしたものであれば購入も可能です。
デザインの幅は金額が上がるにつれて広がるため、20〜45万円の価格帯でデザイン性のあるものを選びたい方はレンタルがおすすめです。
45~50万円の振袖
この価格帯になると、通常の振袖を購入できる相場です。
選べる振袖の幅も広がり、刺繍や絞りなど装飾が施された振袖を購入できます。
しかし、正絹100%を使用した振袖を選びたい方や、お仕立てがある振袖が購入したい場合は、もう少し上の価格帯での購入が必要です。
ワンランク上の高級振袖と呼ばれるものは、50万〜100万円の価格で販売されます。
また、職人が膨大な時間をかけて手作業で作られた振袖には100万円以上の価値がつくことも少なくありません。
振袖を安っぽく見せないコツ
振袖を選ぶなら、なるべく高いものを身に着けたいですよね。
ここでは安っぽくない振袖の選び方や見せ方をご紹介します。
古典柄を選ぶ
安っぽい柄がある訳ではありませんが、振袖を安っぽく見せないためには、昔からの伝統を感じる古典柄を選んだほうがよいでしょう。
古典柄とは、たとえば吉祥文様にある松竹梅や桜や椿、牡丹といった日本を感じさせる花の模様を指します。
現代風の柄というと、太い縞模様やハート柄、バラなど洋花を用いた模様などでます。
古典柄は、成人式以外でも使うことができるなどの利点があります。
自分に合ったサイズを選ぶ
選んだ振袖のよさを十分に活かすためには、自分に合ったサイズを選ぶことが大切です。
身丈が長すぎると重たい見た目になってしまううえに、歩くときに裾を踏んでしまう危険性があります。
逆に、身丈が短すぎると、「おはしょり(帯の下から出る着物の折返し部分)」をうまく作ることができず、着崩れがしやすくなってしまいます。
振袖を安っぽく見せないためにも、自分に合ったサイズの振袖を選ぶようにしましょう。
小物にも気を使う
安っぽく見せないためには、振袖だけでなく合わせる小物も重要です。
帯
振袖の帯には、袋帯を使用しましょう。
袋帯には柄の入り方によって次の3種類があります。
全通柄 | 全体に柄が入っており、どの結び方をしても表に柄が出る。 |
六通柄 | 帯の6割くらいに柄が入っており、胴の1巻目は無地になっている。 |
お太鼓柄 | 太鼓部分、たれ部分、おなか部分に柄が出る、お太鼓結び専用の帯。 |
お太鼓柄は結び方によって柄がうまく出ないことがあるため、全通柄か六通柄の袋帯を選ぶのがおすすめです。
また、帯は安っぽさが目立ちやすい部分であるため、素材にも気を使ったほうがよいでしょう。
帯締め・帯揚げ
振袖には160cm以上の太い平組(フラットに組まれた帯締め)や丸組(円柱状の帯締め)の帯締めを選ぶようにしましょう。
また、重厚感がある金糸入りや銀糸入りの帯締めを選ぶようにすると、とても華やかな雰囲気になるためおすすめです。
帯揚げで振袖に使われるのが多いのは総絞りの帯揚げです。
ふんわりとしてボリュームがある豪華な総絞りの帯揚げは振袖のデザインの華やかさへのアクセントとして適しています。
半衿、伊達衿
顔の一番近くにある半衿には、豪華な刺繍が施された「刺繍衿」を合わせることで高級感や華やかな印象を与えることができます。
伊達衿(重ね衿)は、帯揚げや帯締めと色を合わせたり帯に使用されている柄の色に合わせたりするのが基本ですが、帯締めと同じく、レースやパールの細工が粗いものを選んでしまうと安っぽい印象となってしまうため注意が必要です。
ショール
マフラーの役割を担うショールですが、比較的安いフェイクファーだと全体的に安っぽい印象となってしまうため、天然のファーを選ぶようにしましょう。
天然のファーには、ラビットファーやフォックスファー、水鳥のファーなどがあります。
水鳥のファーは人気の素材で定番ですが、比較的価格もお手頃なのでおすすめです。
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まとめ
今回の記事では、高級振袖の見分け方や価格ごとの価値、高級振袖ブランドなどについて紹介をしてきました。
高級振袖を見分けるときは、生地の重さと職人の手間がどれだけかかっているかがポイントです。
購入する際は、価格によって振袖の品質が異なるため、生地や縫い方などに注目して振袖を選ぶようにしてみてください。
今回の記事である程度の見分けることはできますが、もし判断がつかないときはお店の人や専門家に相談することも検討しましょう。
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