着物の生地にはどんな種類がある?見分け方やおすすめの通販もご紹介!
着物の生地・反物・はぎれには、さまざまな種類があります。
生地によって格や着用シーンも異なるので、しっかりと見分けることが大切です。
この記事では、着物の生地の種類や見分け方、おすすめの通販をご紹介します!
着物の生地・素材の種類
着物の生地や反物の種類は
・絹
・綿
・麻
・ポリエステル(化学繊維)
・ウール
などがあり、中でも着物の代表的な生地である「絹」は、織り方によってさらに種類が分かれます。
また、着物は生地や織り方で特徴が異なるため、着用シーンや季節によって使い分けられます。
以下では生地の種類ごとに詳しく解説します。
絹(きぬ)の特徴と見分け方
絹だと見分けるには、特徴を理解しておく必要があります。
まずは「絹とは何か」や、「絹の織り方」などをご紹介します。
絹とは
絹は、蚕の繭(まゆ)から作られる糸で、その絹糸で織った織物が絹織物です。
多くの着物で使用されている絹織物ですが、その中でも経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の両方を絹糸で織ったものを「正絹(しょうけん)」と呼びます。
正絹は、振袖や留袖、訪問着、紳士着物などのフォーマルな着物だけでなく、着尺(小紋)や色無地、紬といったカジュアルな着物、羽尺(コート)や長襦袢など幅広く使用されている織物です。
絹織物は、手触りや肌触りのよさが特徴で、保湿性や通気性もよく夏も冬も快適に着用できます。
他の生地との見分け方は、やはり手触りです。
触ったときのなめらかさ、生地を擦り合わせたときの「キュッキュッ」という独特な音が絹織物の特徴なので、覚えておきましょう。
絹(きぬ)の織り方
絹織物は織り方によって呼び名が異なります。
特徴や使用用途もそれぞれ異なるので、詳しく見ていきましょう。
紋意匠(りんず)
引用:ttps://tokouan.co.jp/SHOP/rinzu106.html
たて糸、よこ糸ともに撚(よ)らない糸を使用して織るのが綸子です。
「後練り」という、生地を織った後に「精練(絹糸に含まれる不純物を取り除く作業)」を行う方法で作られており、後染め用の白生地になります。
生地には強い光沢があり、さりげない艶やかな地紋が特徴です。
しなやかで薄い生地なので、長襦袢や帯揚げ、暑い時期に着る単衣(ひとえ)仕立ての着物にも使用されています。
紋意匠(もんいしょう)
引用:ttps://tokouan.co.jp/SHOP/rinzu106.html
地模様がある生地のことで、正式名称は「紋意匠ちりめん」と言います。
よこ糸に、「地緯(じぬき)」と呼ばれるベースの糸と、「絵緯(えぬき)」と呼ばれる模様を表現する糸の2種類を使用することで、刺繍などをせずに生地に模様を作っているのです。
そのため、はっきりとした地紋ができるのが大きな特徴です。
光沢もあるので、訪問着や色無地、小紋などの幅広い着物だけでなく、羽織やコートなどにも使用されています。
縮緬(ちりめん)
引用:https://tanko.or.jp/tangochirimen/
「縮緬」は、たて糸にはほとんど撚らない糸と、よこ糸に強く撚った糸を使って仕上げる平織りの織物です。
染色しやすいので、後染め用の白生地として使われています。
織った後に精練することで糸に撚りが戻り、「シボ」という凹凸が表れるのが特徴です。
やわらかいながらも厚みのある生地なので、着物だけでなく帯や帯揚げ、半衿にも使用されています。
一越縮緬(ひとこしちりめん)
引用:https://www.nunogatari.co.jp/c/chirimen
縮緬の特徴でもあるシボと呼ばれる凹凸が小さめで、ざらついた質感なのが「一越縮緬」です。
縮緬には、よこ糸に撚り糸を2本ずつ使用しますが、一越縮緬の場合は1本ずつしか使用しません。
よこ糸は「1本、2本」ではなく「一越、二越」と呼ばれるので、一越の縮緬ということでこの呼び名になっています。
高級感がありながらも着崩れしにくい特徴があり、季節を問わず幅広い着物に使用できるのがメリットです。
紬(つむぎ)
引用:https://www.tumugi.co.jp/tsumugi/pattern.html
精練を先に行う「先練り」と、先染めをした「紬糸」を使用した織物を「紬」と呼びます。
全国各地で織られている織物で、産地によって風土や気候、染料や織り方が異なり、質感もさまざまです。
高級品で言えば、大島紬や結城紬、小千谷紬などがあります。
ただし、高価であっても紬はフォーマルなシーンにはあまり向かず、あくまでもおしゃれを楽しむ着物として愛されているようです。
絞り(しぼり)
引用:https://tokouan.co.jp/SHOP/yu016.html
「絞り」は、日本に古来からある染色方法の一つです。
糸で括(くく)ったり器具で挟んだりすることで防染し、模様を作り出します。
有名なものに「疋田(ひった)絞り」「鹿の子(かのこ)絞り」「一目(ひとめ)絞り」などがありますが、手作業で一つひとつ糸を括るのは大変な作業です。
ちなみに、絞りの生地には「括り粒」という凹凸ができ、見た目も手触りも独特になります。
フォーマルなシーンでも使用できる生地です。
銘仙(めいせん)
引用:https://www.kimonoichiba.com/media/column/440/
「銘仙」は、「絣(かすり)」と呼ばれる手法で仕立てられた着物です。
比較的安価でカジュアルな印象があり、大正時代から昭和時代にかけて広く流行しました。
たて糸とよこ糸の色を意図的にずらすことで、にじんだような独特の模様を作り出しています。
産地は、栃木の足利、群馬の桐生や伊勢崎、埼玉の秩父、東京の八王子が有名です。
現在はアンティーク着物としても愛されています。
お召し(おめし)
引用:https://www.somesho.net/shop/power/default?No=1171901
「お召し」は、「御召縮緬(おめしちりめん)」が正式名称です。
縮緬とは違って先練り・先染めの生地で、縮緬よりもさらに手間を加えた高級品と言えます。
紬にも似ていますが、細かいシボ、しなやかで軽い着心地が特徴的です。
縞御召(しまおめし)や絣御召(かすりおめし)、無地御召(むじおめし)などさまざまな種類があります。
将軍様の「お召し物」が名前の由来であり、生地の中では最高級です。
羽二重(はぶたえ)
引用:https://kimono-rentalier.jp/column/kimono/habutaetoha/
「羽二重」は、平織りで織られた後染め用の生地で、細いたて糸を2本使う独特な方法で織られているのが特徴です。
肌触りのよさや軽さ、光沢などが特徴で、礼装の裏地にもよく使用されています。
絹糸で織られた羽二重は「光絹(こうきぬ)」と呼ばれるほど高級品で、黒紋付や留袖などに使用されることも多いです。
絽(ろ)
引用:https://rosha.jp/faq/02_about_ro-sha/ro_sha_chigai/
「もじり織り」という独特な織り方を用いている生地を「絽」と呼びます。
もじり織りは、たて糸2本をねじってよこ糸に織り込んでいく方法で、織り目に隙間ができるのが特徴です。
透け感がある生地で、見た目も着心地も涼しげがあります。
フォーマルなシーンに適しており、留袖や訪問着、小紋などに使用されることも多いです。
通気性のよさから、特に夏用の着物として重宝されています。
紗(しゃ)
引用:https://rosha.jp/faq/02_about_ro-sha/ro_sha_chigai/
絽と同じく透け感のある生地が「紗」です。
1本のよこ糸に2本のたて糸を織り込む手法で織られています。
織り目が非常に粗く、夏用の着物や帯に使用されているのは絽と同じです。
しかし、紗は絽よりも着用シーンが幅広く、セミフォーマルからカジュアルなシーンにも適しています。
肌襦袢の色によって透明感が変わるので、春から秋にかけても着用可能です。
袴地(はかまじ)
引用:https://iorisq.com/product/hakama/
「袴地」は、性別や年齢問わず袴に用いられる生地です。
正絹だけでなく、ポリエステルやウールなどの素材があります。
正絹で作られる袴地は紳士用が多く、縞模様の「仙台平(せんだいひら)」は有名です。
女性用や子ども用の袴にはポリエステルが使用されていることが多くなっています。
木綿(もめん)の特徴と見分け方
綿花が原料の「木綿」は、絹織物に比べると重さや厚さがあり、滑りにくいのが特徴です。
そのため、一般的には単衣(ひとえ)で仕立てられています。
見分ける際のポイントは、普段着として使用されているかどうかです。
また、水をくぐるほどやわらかくなることから、洗濯ができるという特徴がある点も覚えておくとよいでしょう。
麻(あさ)の特徴と見分け方
夏用の着物や浴衣に使用される「麻」は、植物の表皮の内側から採れる繊維から作られます。
通気性に富んでおり、薄手なのに張りがあるのが特徴です。
自宅で洗濯ができる点も、他の生地と見分けるポイントでしょう。
ちなみに麻の生地には、シボという凹凸がある「縮み」や、細い麻糸を用いて平織りをした「上布(じょうふ)」があります。
着物だけでなく、帯や小物にも幅広く使用されており、カジュアルなシーン向けの生地です。
ポリエステルなどの化繊(かせん)の特徴と見分け方
「ポリエステル」は化学繊維のことです。
化学繊維には、ナイロンやレーヨン、アセテートなどもありますが、着物に使用される素材はポリエステルが多くなっています。
ポリエステルの特徴は、手入れのしやすさや汚れにくさ、そして何より安価ということです。
天然素材に負けないくらい高級感のあるポリエステル着物も増えており、普段着として着用する人も多くなっています。
絹の着物との見分けが難しくなってきていますが、「自宅で洗濯できる」のであればポリエステルだと考えてよいでしょう。
しかし、絹のようなしなやかさはなく、通気性や保湿性も高くありません。
静電気が起きやすかったり火に弱かったり、着崩れしやすかったりというデメリットもあるというのを覚えておきましょう。
ウールの特徴と見分け方
羊やアルパカなどの動物繊維である「ウール」は、寒い時期におすすめの素材です。
他の生地に比べて厚手で暖かく、冬場の着物として重宝されています。
シワができにくい、汚れに強い、丸洗いができるなど、手入れのしやすさもメリットです。
ただし、洗うと縮んでしまったり虫の被害を受けやすかったりする点はデメリットと言えるでしょう。
ウールの原料は動物の毛なので、他の生地と違って毛羽立ちます。
基本的には冬用の着物に使われることから、比較的見分けやすい素材です。
浴衣(ゆかた)に使われる生地は?
ここまでよく着物に使われる生地の特徴をご紹介してきましたが、着物に詳しくない方でも手に取る機会の多い「浴衣」には、どのような生地(素材)が使われているのでしょうか。
「浴衣」は夏や湯上りに着用することから、吸湿性や通気性が重要視されます。
そのため、主に使われている生地は綿ですが、近年はポリエステルや麻混の生地も使われているそうです。
有名な浴衣には、愛知県の有松・鳴海絞りがあります。
着物の模様
着物の生地を見分ける際には、使われている素材だけでなく「模様」にも注目しましょう。
手描き
「手描き」は、その名の通り手描きで模様を付ける方法です。
「糸目糊(いとめのり)」という糊で模様の輪郭を描き、その内側を染色していきます。
その後、糊伏せをして生地全体を染めていく流れです。
最後に、糊や余分な染料を洗い流し、脱水・乾燥して仕上げます。
手描きによる模様が施された着物は制作工程に手間がかかっているため、価値が上がりやすい傾向にあります。
型染め
「型染め」は型紙を用いた染色方法で、同じ模様が量産できるのが特徴です。
1人の職人がすべての工程を行う手描きと違い、複数の職人が分業して行なっています。
ただし、熟練の技が必要であり、技術の高さは手描きと変わりません。
京小紋や加賀小紋など、産地によって染め方も違い、さまざまな特徴があります。
型染めも技術を必要とするため、プリントによる模様よりも価値は上がりやすい傾向です。
着物の生地・反物・はぎれはどこで買える?
着物の生地を買えるおすすめの場所を紹介します。
おすすめは「着物専門の通販サイト」
着物の生地・反物・はぎれは、着物専門の通販サイトがおすすめです。
専門店ならではの上質な生地を安心して購入することができます。
安い生地を探すなら「大手ショッピングサイト」
着物の生地を安く購入したい場合は、ショッピングサイトで探してみるのもひとつの手段です。
リサイクル生地やはぎれなど、幅広い種類の生地が安く販売されていることがあります。
直接見て選びたいなら「実店舗」
生地を直接見て選びたい場合は、取り扱いのある呉服店を利用するのがおすすめです。
浴衣の生地など安価なものは、手芸店で手に入る場合もあります。
生地・素材による格や用途
着物に使われる生地(素材)の見分け方がわかったところで、ここでは生地や素材の格や用途についてご紹介します。
それぞれ着用できるシーンが異なるので、マナーとして理解しておきましょう。
正絹
着物の生地の中でも高級品である正絹は、フォーマルなシーンで着用する着物に使用されます。
そのため、格は最も高いと考えてよいでしょう。
ただし、小紋や紬などのカジュアルな着物にも使用されており、幅広い場面で重宝する素材です。
木綿や麻
着物だけでなく普段着にも多く使用される木綿や麻は、カジュアルなシーンで着用する着物に使用されます。
値段や柄に関係なく、格は高くありません。
ポリエステル
ポリエステル着物の中には、見た目ですぐにポリエステルだとわかる安価なものから、正絹と遜色ない仕上がりのものまで幅広く存在しています。
そのため、ポリエステルと一括りにして判断できない場合があります。
ただし、「小紋風」「紬風」として作られている場合も多いため、そちらに従って着用するとよいでしょう。
高級な生地、安い生地はどれ?
着物の生地の中で、最も高級とされるものは絹が100%使われている「正絹」です。
反対に大量生産しやすい「ポリエステル」は安い生地と言えるでしょう。
生地によって扱い方が変わるので注意!
生地には特性があるので、お手入れする際には生地に合わせた扱い方をしなければいけません。
それぞれご紹介するので見ていきましょう。
正絹
正絹は、自宅で洗うことが不可能です。
お手入れをする際は必ずプロに依頼してください。
経年により色が変化する場合もあるので、収納方法にも注意しましょう。
木綿や麻
自宅で洗濯できる木綿や麻ですが、縮む可能性があるので注意してください。
また、天然素材であることから虫食いの被害にあう可能性もあります。
収納する際は、防虫対策を必ず行なってください。
ポリエステル
ポリエステル着物は、基本的に自宅の洗濯機で洗うことができます。
縮む心配もないので、気軽に着用できるでしょう。
ただ、夏は暑く冬は寒いという特徴や、滑りやすく着付けが難しいというデメリットがあることは覚えておいてください。
まとめ
着物の生地には、絹を始めさまざまな種類があります。
同じ素材でも織り方や産地によって名前や特徴が異なり、適している着用シーンも違うということを覚えておきましょう。
それぞれの生地の特徴を見極め、TPOに合った着物を選んでいきたいですね。
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