金の「刻印」の種類と意味!ひし形マークの意味や海外の刻印も解説!
「そもそも刻印ってどういうもの?」「金の刻印には何が書かれている?」このような疑問をお持ちの方がいると思います。
普段あまり意識していない部分ですが、金の刻印は種類が豊富で、形にはひし形や国旗、アルファベット、数字などが存在します。刻印は国によってデザインが異なり、イタリアやエジプト、タイ、フランスといった海外でその国独自の刻印が記されているのです。
多種多様な刻印は読み取ることが難しく感じますが、刻印の意味や仕組みを理解すれば金にまつわる様々な情報を読み取ることが可能です。
本記事では、金の刻印の意味や種類などを解説しつつ、刻印から情報が読み取れたあとに行うべきことを解説していきます。なお、買取ウリエルが、査定数300万点を突破したり、数多くの金・貴金属の査定経験から経たりした知見やノウハウを基に説明します。
【基礎知識】金の刻印とは?表示する理由は?
刻印とは、金の純度や種類、品位などを示すもので「品位証明記号」や「ホールマーク」とも言われます。
例えば、日本で製造された金製品の刻印の場合、ひし形マークの中に金の純度と日本国旗が記されています。刻印がある金製品は、硬貨の鋳造や貴金属の品位証明を行う造幣局から正式な金として認定された証です。
刻印を表記する理由は、大きく2つあり、具体的には以下の通りです。
- ・本物と偽物を区別する
- ・金製品に関する情報を正しく伝える
刻印を見ることで、金の製品情報や金の価値を評価することができるため、刻印は金の購入や買取の際に重要となります。
【完全網羅】金の刻印の種類一覧
刻印の記されている場所は、アクセサリーの場合は留め金やプレートに、金塊や金の延べ棒の場合は表面にあります。刻印の種類や意味を理解していれば、材質や純度などの情報を得ることが可能です。
金の刻印には、以下の内容が記されています。
- ・金の純度
- ・国(製造元)
- ・カラーゴールドの種類
- ・金張や金メッキなどの加工
それでは、上記を深掘りしていきます。
金の純度
金の純度とは、金の含有率のことを表します。金の純度が高ければ高いほど、金の価値が高く、金の購入や買取の際に高値で取引されやすいです。
しかし、金は金属の中でも柔らかい素材なため、ジュエリーを作る際は他の金属と混ぜて強度を高めることが一般的です。純度を読み取ることで、他の金属との含有率を知ることができ、より品位の高い金製品を取引することに役立ちます。
金の純度の表記は、24分率と100分率の2パターンがあり、具体的には以下の通りです。
24分率 | 1,000分率 | 純度(%) |
K24 | 999 | 100 |
K22 | 916 | 91.6 |
K18 | 750 | 75.0 |
K14 | 585 | 58.5 |
K10 | 416 | 41.6 |
K9 | 375 | 37.5 |
基本的に、24分率の表記方法は日本国内で使われ、1,000分率表記方法は海外で使われることが多いです。
国(製造元)
金の刻印には、金が製造された国の印である、ホールマークが表記される場合があります。ホールマークは、各国の造幣局や指定を受けた機関から厳しい検査を受け、認められた金製品にのみ刻印される品位を証明する印です。
例えば、日本のホールマークは日本国旗がデザインされています。ホールマーク付きの金製品は1,000分率で表記され、純度を表す数字の刻印の横に表記されます。日本での検定制度は任意となっているため、全ての金製品にホールマークが表示されているというわけではありません。
ホールマークは海外にもあり、各国によって表記方法が異なります。詳しくは「海外の金刻印一覧」で解説しています。
カラーゴールドの種類
カラーゴールドとは、割金と呼ばれる金に他の成分が含まれた金属を混ぜて作られている、色のついた合金のことを言います。
カラーゴールドは刻印を見ることで、どのカラーゴールドなのかを読み取ることが可能です。それぞれのカラーを表す英単語の頭文字と、金(Gold)の頭文字であるGを合わせて表記されています。
例えば、K18の金とホワイトゴールドの金製品だった場合は、「K18WG」と表記されます。つまり純度75%の金と、25%の金やパラジウム、銀などを混ぜ合わせた金属との割合で製造された金製品ということです。
カラーゴールドの刻印の種類は以下の通りです。
色味 | 刻印 |
ホワイトゴールド | WG |
イエローゴールド | YG |
ピンクゴールド | PG |
グリーンゴールド | GG、GRG |
レッドゴールド | RDG |
ブラックゴールド | BG |
パープルゴールド | PG |
上記はカラーゴールドの代表例であり、他にも複数のカラーゴールドが存在しています。
金張りや金メッキの加工
金張りや金メッキは、別の素材で製造された金属の表面に、金を貼り付けて加工された金製品のことを言います。刻印が書かれている金製品で、金張りや金メッキで加工されている場合は、刻印から加工方法を読み取ることが可能です。
金張りや金メッキ加工がされている金製品は以下のように刻印されます。
刻印 | 意味 |
GF | GOLD FILLED 金張りを意味する。 |
GS | GOLD SHELLED 金張りを意味する。 |
GR | GOLD ROLLED 金張りを意味する。 |
RGP | ROLLED GOLD PLATE 金張りを意味する。 |
刻印 | 意味 |
GP | GOLD PLATED 金メッキを意味する。 |
M/1M/3M/5M | 金メッキの厚さを表す。 単位はM(ミクロン)。 |
1/10 1/20 | 金メッキの厚さを表す。 1/10の場合、10分の1ミクロンを意味する。 |
GEP | GOLD ELECTRO PLATED 電気メッキを意味する。 |
HGE | HARD GOLDELECTROPLATED 電気メッキを意味する。 |
海外の金刻印の種類一覧
刻印制度が制定された1300年代から、海外では金製品の盗難や粗悪品の流通トラブルが多かったため、予防策としてホールマークが多く使われる傾向にありました。特にフランスやイギリスでは刻印制度が厳格化しており、現在でも刻印が義務付けられています。
刻印の表記は国によって異なり、代表的な刻印は以下の通りです。
- ・フランスの刻印
- ・イギリスの刻印
- ・イタリアの刻印
- ・タイの刻印
- ・台湾の刻印
- ・中国の刻印
それぞれの国の刻印について解説していきます。
フランスの金刻印
フランスで製造された金製品には、鷹の頭の刻印が刻まれています。ただし、フランスはK18(18金)以外を金と認めてはいけないという厳しい刻印制度の方針のもと、K18(18金)以外は鷹の頭が刻印されていません。
フランスではK18(18金)が標準とされている中で、K18(18金)以下の金はまれに存在し、鷹の頭以外の刻印が表記されています。例えば、K13(13金)でサンジャック貝の刻印、K9(9金)で三つ葉のクローバーの刻印です。
フランスの刻印は年代によって記されているデザインが異なり、古い金製品の場合は鷹の頭以外の刻印が施されていることもあります。鷹の頭の刻印は、1838年から現在にかけて使われているのに対し、1838〜1919年の一定の期間のみ馬の頭の刻印が使われていました。
イギリスの金刻印
イギリスで金は古くから愛され、1300年代から金製品などに刻印がされていました。イギリスでは刻印制度が厳しくルール化されており、規定を満たした金の量・金製品のみ刻印をするように定められています。
金の詐称や偽造が多く行われていた時代があり、正当な金を市場に流通することを目指すために刻印制度が厳格化しました。刻印のある金製品は、厳しい検査を通過した証であり、より信用度が高いと言えます。
イギリスで製造された金製品には、王冠のデザインとその横に純度を表す数字が記されています。また王冠の刻印に加え、金の種類から製造元、検査した場所まで詳細に書かれているのも大きな特徴です。
イタリアの金刻印
イタリアの刻印は、「金の種類・金の純度」という形で表記され、具体的には「Au700」というような刻印となります。その刻印の上下どちらかに「☆・数字・アルファベット」が並びます。
☆はイタリアのホールマーク、数字は金製品メーカーと認証された際に割り当てられた番号です。アルファベットは製造された地域の略称であり、刻印を見るだけで金の品位やメーカー名、製造元まで情報を得ることができます。
しかし、イタリアは日本と同じ様に刻印の表示を義務化していないため、の金製品に刻印があるわけではありません。
タイの金刻印
日本で金と言えば、K18(18金)純度75%が主流ですが、タイの場合はK23(23金)純度96.5%が金として判断されます。タイで販売されている金製品の90%はK23(23金)を閉めており、世界的に見てもK23(23金)の流通量はタイが最も多いとされています。
しかし、タイでは表記されている純度よりも実際の純度は低く、金の純度表記と含有率の関係が等しくありません。例えば、国際的にK22(22金)とは純度91.6%ですが、タイでは純度90%のものをK22(22金)と呼ばれます。
タイで製造された22K以上の金製品には、「振和興」や「和成興」と刻印されています。
台湾の金刻印
台湾の刻印は中国と同じように「〜足金」、または金の純度を数字で表し「999.9」や「999」のように表記します。台湾の金の基準は、純度が99.99%であり、9999(フォーナイン)の刻印は基準を満たしているという意味の刻印です。
純度を数字で刻印されている場合は、金の重さと一緒に表記されているケースもあり、「999.9・30g」と表記されていれば、「30gの金」という意味です。
台湾での金の取引には「g(グラム)」ではなく、「銭」という重さの単位が使われています。銭は日本語で「匁(もんめ)」という単位になり、1匁は3.75gと表されます。
中国の金刻印
中国で製造された金製品は「満足金」、「千足金」、「足金」という3種類の刻印が表記されています。刻印は含有率の程度を意味しており、以下のように表記されます。
刻印 | 意味 |
万足金 | 24金程度 |
千足金 | 21金〜23金程度 |
足金 | 20金程度 |
上記の刻印は、中国国内で主流となっているものの、国が定めた刻印ではないため、純度にばらつきがあり「〜金程度」となっているのです。「支那金」もしくは「シナ金」と呼ばれることもあり、中身が空洞のデザインが多く、比重の計測が難しいとされています。
金以外で刻印は使われているのか?
金以外に刻印が使われている金製品はプラチナとシルバーで、その表記内容はいくつか存在しています。プラチナとシルバーは、金を表すカラットのように金製品を表すアルファベットがあり、品位を表す数字と一緒に表記されます。
プラチナとシルバーは、カラーゴールドで上述したホワイトゴールドと色合いが似ていますが、違いを判断するには刻印を見れば一目瞭然です。取引の際に、何の材質で造られた金製品なのか判断に迷ったときは、刻印に注目すると良いですよ。
プラチナの刻印
プラチナ製品には、アルファベットと数字が組み合わされた刻印が用いられています。日本などのアジア圏では「Pt」、アメリカでは「PT」や「PLAT」と表記されます。数字は品位を表す1,000分率で記され、純度99.9%は「Pt999」、純度95%は「Pt950」です。
造幣局にて品位証明された製品には、金製品と同じようにホールマークの日の丸と品位を表した数字が入ったひし形が表記されます。しかし、古いプラチナには「Pm」と表記されている場合があり、Ptが標準化する前に製造された可能性の高い製品を意味します。
シルバーの刻印
シルバー製品には、「SILVER」、「SV」、「SLV」などの刻印と、品位を表す1,000分率で表された数字が表記されます。例えば、純度99.9%のシルバーなら「SV999」と刻印されます。
中にはスターリングシルバーと呼ばれるシルバー製品があり、銅を主とする割り金が7.5%未満で製造されたという意味です。スターリングシルバーは、金属アレルギーを起こしやすいニッケルが含まれないため、アクセサリーや食器に多く使われています。
金の刻印が書かれている場所はどこ?
アクセサリーやジュエリーはデザインを損なわないために、目立たない場所に刻印されます。アイテムによって刻印が表記されている場所は異なり、具体的には以下の通りです。
アイテム | 刻印の場所 |
リング/指輪 | 内側部分 |
ネックレス | 留め金具部分 |
ペンダント | 裏側や側面 |
ブレスレット | 留め金具部分 |
時計 | 本体の裏側 |
イヤリング/ピアス | 裏側や側面 |
アクセサリーやジュエリー自体が小さいため、刻印の表記を肉眼で確認をするのは難しいと感じる程小さく表記されています。刻印が見当たらない際は、留め金具を外して確認する方法もあります。
【必読】金の刻印を読み取る際の注意点
金製品の刻印によって、金の品位や年代、製造元など様々な情報を読み取ることが可能ですが、全てがその通りであるというわけではありません。あくまでも、刻印は品位を判定する目安となるものであり、100%信頼性のあるものではないということです。
金の刻印を読み取る際の注意点は、以下の通りです。
- ・「刻印がある=本物」というわけではない
- ・金の刻印がない場合、偽物を疑う
- ・「あとK」には注意が必要
上記の注意点をそれぞれ解説していきます。
「刻印がある=本物」というわけではない
金製品に刻印があったとしても、本物ではない可能性があります。なぜなら、刻印が表記通りの純度ではなく、詐称されている場合があるからです。
詐称のない金製品であることを証明するため、造幣局から認定されたホールマークは存在しています。しかし、刻印は任意であり、規則や法律で定められているわけではないため、全ての金製品に表記されるわけではありません。
刻印表示を義務化していないフランスやイギリス以外の国では、ホールマークのない金製品の信頼性はどうしても下がってしまいます。後述しますが、「アトK」と呼ばれる刻印にも注意が必要です。
金の刻印がない場合、偽物を疑う
国によって刻印表示が義務化されていない国もあるため、金製品に刻印が表示していないケースがあります。海外で製造された金製品の中には、純金と謳って取引をされていた場合でも、不純物が混ざっている可能性もあります。
「本物と思って購入したけど、実は偽物だった」ということになりかねないので、刻印がない場合は注意が必要です。しかし、刻印がない金製品の全てが偽物というわけではありません。
刻印がない事で純度を判定することは難しくなりますが、比重を計測する方法や熱の伝わり方を確かめる方法などで確認することが可能です。
金が本物かどうかを判断する方法は、以下の記事で解説しています。
いずれの方法も素人には判定が難しいため、刻印のない金製品を判定する際は信頼できる専門家に相談すると良いですよ。
「アトK」には注意が必要
「アトK」とは、一般的に「K18」と表記されるところ、「18K」のようにカラット表記が数字のあとに記されている刻印のことを意味します。アトKの金製品は、主に東南アジアなどの海外で製造されたものに多く見られます。
アトKの金製品は、表記の純度よりも低めに造られてていることや、金性がない偽物で造られていることがある場合が比較的多いため、取引の際は注意が必要です。
ただし、日本の古い金や海外の金製品メーカーではアトKを用いられることがあるため、アトK表記の全てが怪しいというわけではありません。例えば、日本製品なら万年筆はアトK表記で記されています。
万年筆のペン先が金の場合、買取市場では非常に需要が高く、高価買取につながりやすいので、日本製品の万年筆で金が使われている場合は、ぜひ買取を検討してみるといいです。
まとめ
金の刻印は、品位や種類、製造元などの情報を読み取ることができ、製造当時の状況までも知ることが可能です。金の歴史は古く、ホールマークの表記によって、国々が偽造防止の対策に奮闘してき様子も伺えます。
何気なく見ていた刻印には意味がり、理解することで取引の際に役立てることが可能です。しかし、刻印があっても詐称の恐れがあるもの、偽物であるもの、アトKのものなど自分で判断が難しい場合は専門家に頼る方法があります。
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